第7章 聖戦
第173話 古き友
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りの中、その事実に気付く俺。そうだとすると有希の暮らしていた世界の此奴でない事は確かだな。
そう考えながら、自らが呼び出した存在を見つめ直す俺。
……身長は俺とタメと思われるので百八十センチ以上。日本人としてはやや大柄と言う感じか。身体の筋肉の付き方も悪くはない。見せる為だけに鍛えた筋肉と言う訳ではなく、ちゃんと動かす為に鍛えた、強靭な中にもしなやかさを感じさせる理想的な筋肉。これなら、少々無理をしたとしても簡単に壊れて仕舞う事もないでしょう。
肌は東洋人……と言うか、此奴は間違いなく日本人。髪の毛も当然、黒。本来の俺の髪の毛。日本人の中にも少なからず存在している濃いブラウン系の髪の毛などではなく本当の漆黒。そして、地味な黒縁のメガネの向こう側に意外とつぶらな瞳が僅かに笑う。
……と、ここまではこの漢のごく普通人的な描写。
そしてここから先が異常な点。
黒く硬い質の髪の毛に隠された額に、何故かマジックか何かで殴り書きされたかのような『キング』の三文字。たらこか明太子を咥えているんじゃないかと思わせるほどのデカい唇。挨拶の為に立てられた右手に握られているのは分厚い紙を丁寧に折り畳んで作られたハリセン。
そしてもっとも異様なのは彼の身に纏う衣装。首から下げられたおしゃれな髑髏のネックレス。更に、日本男児の潔さを表現するかのような白の越中ふんどしが、自らが巻き起こした風の余韻に揺れる。衣装と呼べるのはその二点のみ。
当然……と言うかどうか分からないが、その足も素足。まぁ、ふんどし一丁で顕われたのだから、靴など履いて居たら無粋だし、雪駄も少し違うような気もするので、これはコレで間違いではない……とも思う。
但し、良く見ないと分からない事なのだが、この眼前の人物は常に空中に浮遊した状態なので、そもそも靴の類は最初から必要としていないのだが。
俺の中の武神忍の部分の驚き……普段の彼とのギャップに対する驚きと、それ以外の部分。この眼前の人物にあの頃のオマエと呼ばれた前世の俺が感じて居る懐かしさが同居している……何と言うか、非常に不思議な気分。
「武神忍として答えるのなら一年ぶりぐらいか」
右手で略式の敬礼のような仕草を行いながらそう答える俺。
そう、それ以外で言うのは意味がない。少なくとも、以前の俺が死亡した時点でその時の俺の時間は止まっているのだから。
何にしてももう大丈夫。……若干、不安な点が無きにしも非ずだが、それでももう精神汚染の類に関しては大丈夫。そう考え、有希とタバサに対して【念話】にてそう伝えようとした刹那、右側に存在する元堅牢なる壁。現在は単なる瓦礫の山の向こう側で何かが動く気配。
そして、
「ヤバかったな。流石に今回は一瞬、ダメかと考え掛けたぜ」
瓦礫の山をか
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