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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第173話 古き友
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手のハリセンが巻き起こす扇状に広がる音速……どころか、光速に匹敵するかの如き破壊の旋風が周囲に破滅をもたらせる!
 ……と言うか、この場所は少なくとも俺の知っている限り、もっとも強力な結界により補強されているはずなのだが、それをあっさり打ち破り、石壁を斬り裂きやがるとは。

「しかし……。相変わらず無茶苦茶な奴やな、オマエは」

 そもそも何故、俺が周囲に結界を施しているのか考えて欲しいのだが。
 ここは巨大な貴族の邸宅の最奥部。周りは基本的に石に因って作り出された人工物。こんなトコロで神話時代の破壊力を誇示したら、物の三分で周囲には瓦礫しか残っていない状態となる。流石に俺やタバサたちはその程度の事。例え生き埋めになるレベルの破壊が一瞬で起きたとしても生命の危機に陥るとも思えないが、前後不覚の状態のはずのシャルロットや、この城の何処かに居るはずのキュルケ。それにアルザス侯シャルルが無事に済む訳はない。

「大体、そのハリセンで思い切りぶん殴られたら、幾ら頑丈な彼奴でも死んで仕舞う可能性もあると思うぞ」

 濛々と立ち込めるその埃のカーテンの向こう側にそう話し掛ける俺。ただ……其処に微かな違和感。そもそも俺は何故、匿名希望のチンチクリンが頑丈だと言う事に気付いた?
 ……と言うか、音速よりも早く振り抜かれるハリセンの威力ってどの程度なのか想像も付かない。その攻撃を受けて無事に終わる生身の人間が居るなどとは、普通は思わないはずなのだが。

「何を訳の分からん事を言うとるんや、オマエは?」

 そもそもあのスダコがこの程度の事で死んで仕舞う訳はないやろうが。
 ヘックション! 妙にオッサン臭い大きなクシャミの後に、そう答える謎の男声。その声の中には何ちゅう埃っぽいトコロに呼び出すんや、ボケが。……などと言う感情が見え隠れ。
 ……って、おいおい。そもそも、この埃はアンタが全力でハリセンを振り回したから左側の壁が切り裂かれ、ついでに正面に居たチンチクリンを吹っ飛ばして、右側の壁を完全にぶっ壊した所為で発生した埃なので、俺に責任はないと思うのだが。

 そう俺が考えている最中、発生する突風が再び俺の張り巡らせた結界を叩く。おそらく、周囲に立ち込める埃を鬱陶しく感じた声だけの男性が、自らの手にしたハリセンを軽く振るったのでしょう。
 但し、この旋風(かぜ)は最早暴風レベル。暴力的なまでの旋風が周囲に与えた被害を更に拡大させて行くような気もするのだが……。

 そして――

「よぉ、久しぶりやな」

 儂を呼び出せたと言う事は、オマエは武神忍やなしに、あの頃のオマエに戻ったと言う事なんやな。
 シュタっという感じで、右手を立てて挨拶を送って来る男性。
 成るほど、此奴は武神忍を知っている世界の存在か。……短いやり取
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