第7章 聖戦
第173話 古き友
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その俺の目の前を横切り、顕われた時と同じ唐突さで次元テレポートを行おうとした裸神……なのだが、しかし、その瞬間、急に何かを思い出したかのように立ち止まり、
「おっと、忘れる所やった」
ひとつ伝言があったんやったな。
そう独り言のように呟く。
しかし……伝言?
……と言う事は、今回、俺が此奴を呼び出そうとする事も、ある程度の連中。此奴と繋がっている可能性のある妖怪食っちゃ寝や、西王母などには御見通しだったと言う事なのだろうか。
お釈迦様の手の平の上から抜け出す事が出来なかった孫悟空状態の自身に少し溜め息。もっとも、時間の流れが仙界と、このハルケギニア世界では違う可能性もある上に、此奴の能力から考えると時間の逆転現象。つまり、光速を上回る速度で移動する事が可能なので、俺が呼んだ後に、伝言を頼む事も出来る可能性もあるにはあるのだが。
「彼奴からの伝言や」
さっさと俺の娘を取り返せ、この無能が。
そう言葉を続ける裸神。
「もし今回の人生で取り返す事が出来なんだら、俺が手下を連れてそっちの世界に殴り込みを掛けるぞ」
九天玄女娘々も連れてな。
俺の娘。手下。それに何より九天玄女だと?
「もしもそないな事になったのなら、この世界の騒動も収拾が付かんようになるのは間違いないな」
他人事だと思ってテキトーな事を言う裸神。例えば、ラグドリアン湖の畔に要塞が築かれる事は間違いないか、とか、真っ先に滅ぼされるのは悪政を敷いているオマエの国になるんやろうな、とか。
……と言うか、
「んなアホな事があるかい」
そもそも黒三郎なら、トチ狂った挙句に俺に対して牙を剥いて来る可能性も若干存在するとも思うが、托塔天王が忠義双全などと寝惚けた事を言い出す訳がなかろうが。
替天行道の方なら分からへんけどな。
確かに忠義双全などと言われれば、その忠義の向かう先に因っては俺など世界を混乱させている筆頭として攻撃される可能性はある。例えば、今回の自称チンチクリンのように。……が、しかし、そもそも論として言うのなら、その世が乱れた原因が、王に王たる資格なしと天が判断した可能性の方が高いから、だとも思うのだが。
故に易姓革命が行われようとしているのだから。このハルケギニア世界では。
「大体、その正義と言うヤツの定義自体が非常に曖昧で、その人物の立ち位置によっては全く違う正義が幾つも存在している可能性すらあるモンやからな」
俺の答えに、あぁ、確かに。そう答えてから笑う裸神。何処からどう見てもギャグキャラ、更に言うと出落ち感が半端ない姿形なのだが、その笑顔はヤケに爽やかで、非常に好感の持てる物であった。
そして、
「今度こそ終わりに導け」
終わっ
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