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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。
0108話『香取の修練』
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私はその文月さんの現在の練度を聞いて、そして最近の練度インフレの事も吟味しまして最低でも80は上げておいた方がいいという結論に至りました。
ですので、

「文月さん。でしたらこれから私と特訓しませんか? これでも練習巡洋艦の私です。少しはお役に立てると思うのです」
「ほんとう!? 香取先生、ありがとう!」
「那珂ちゃんも手伝うね! もう忙しくなりそうだね!」

そんな話をしながら私達はその話をするために執務室へと向かいました。
向かう道中で、

「でもでも! なんか文月だけなんか悪いなぁと思うの。弥生ちゃんとか望月ちゃんとかもきっと改二になりたかったと思うしあたしだけ特別扱いなのも嫌なの」

文月さんはそう言って悩んでいました。
お優しい文月さんの事ですから姉妹の子達に気を使っているのでしょうね。
ですが変に情けをかけても余計変にこじれてしまうのが目に見えてしまうと思うのです。
ですからここは心を鬼にしますね。
それで私は文月さんの肩に手を置いて真正面から話しかけます。

「文月さん。あなたのその気持ちはきっと姉妹の皆さんは嬉しいと感じるはずです。ですが同時に足枷にもなってしまう事を危惧した方がいいですよ」
「なんで……?」
「どういう事? 香取さん……?」
「那珂さんは水雷戦隊を務めていたのなら分かると思いますけど気休めの情けは時には逆に相手を傷つけてしまうのですよ」

それを聞いて那珂さんは思い当たる節があったのか「あー……」と言って苦い顔をして頭を掻いていました。
どうやら心当たりがあるようですね。

「確かにそれは少しわかるかもしれない。戦闘で行動不能になった子は負い目を感じながらもその場で雷撃処分か放棄せざる場面も昔はあったからねー。那珂ちゃんも胸が苦しいよー……」

オーバーリアクションとまではいきませんがそれなりに感情を込めて那珂さんはそんな話をしていました。
それでもまだ文月さんは分からなかったらしく「え? え?」と少し混乱しているようですね。

「文月さんはもし姉妹の誰かがもう動けないような状態になってしまったらどうしますか……?」
「それは……助けたいよぉ」
「はい。普通ならそう考えますけど一刻と変わっていく戦況でそれすら許されない状況になってしまう事も時にはあります。そんな時は心を鬼にして見捨てる覚悟も必要なのですよ」
「そんなぁ……嫌だよぉ」

それで文月さんは少し涙目になっています。
心が私も締め付けられますけど我慢をしなければ……。

「ですからそんな事態にならないように文月さんが強くなって守って差し上げればいいのですよ」
「あたしが、守るの……?」
「はい。改二になるというのはそれほどの強さと夢、希望が託されているのですよ。ですから遠慮などせずに文
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