第20話『混迷の時代の願い星〜勇者の新たなる旅立ち』【アヴァン 】
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
い。
例え魔物を喰らい、人でなくなりつつあったとしても――心は何も変わらないはずだ。
例え瞳の色が左右とも違っていても――見える景色は変わらないはずだ。
故にガヌロンは『アンリミテッド』を信仰する――人と人以外を区別するものは『心』という、友人シャルルの『人』をむずびつける言葉がある為に。
人と魔の抗争時代より遠退いた現代だからこそ、肉体の改革ではなく精神の変革が必要なのだと訴える。
ガヌロンは誰を相手にして拒まず、おのが信じる道を語った。ヴァレンティナ=グリンカ=エステスにしても。フェリックス=アーロン=テナルディエにしても。
そんな彼の姿勢は、一部の『底知れぬ陣営』に多くの共感を得ることとなる。
ティル=ナ=ファが人と魔という二つに分かたれて戦う時代から始まったからこそ、そんな彼は各国を訪れ、調停者としてそのたびに平和への思想を説いた。『人』は『魔物』とは違うということを示すために――
だが、ガヌロンの言葉に耳を傾けるものはおらず、例え賛同者がいたとしても、その切なる声は、栄養素を求めるためにより多くの戦いを誘う声にかき消され、戦火は幾度となく燃え広がるばかりだった。まるで幾面にも連なる楽譜――終曲の見えない輪廻のように。
そういう獣のような論理もまた、人の本性なのだろうか?
別の側面でも、やはり『人ならざるもの』と『人』は何ら変わりはないのだろうか?
『不死のコシチェイ』という魔物を喰らい、寿命というリミッターが外れた彼は、そういった人の外れた道を幾度となく見てきた。見らざるを得なかったのだ。
我々は何もわかっていないのだ。見えざる敵とその姿に。
神の身でなければ出来ないことと、神の身では出来ないことは、本質的に同じかもしれない。
だが、神を超える者――アンリミテッド、その名が示すように無限を示唆してくれるなら、いつしか本当の理想世界が訪れるであろう。
それとも、人々の間に往来する律動は、終曲を得ることなく、ただ暁の炎に焼かれる運命にあるのだろうか?
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ