第60話<平和なひと時>
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
剛、利根は、さしずめ『お姉さん』か」
なぜか私の解釈に頷く艦娘たち。
「祥高さんや山城さん、それに龍田さんになると、もう『大人の女性』って感じだな(実際は若いけど)」
「ねえ、アタシは?」
私の言葉に北上が聞いてきた。
「そうだな……北上や青葉、比叡あたりは、ちょっと微妙だけど女子高生かな?」
「あはっ、嬉しいです!」
妙にノリが良い比叡だった。
そんな会話をしていると祥高さんが艦娘たちに『お小遣い』を支給し始めた。
私は聞いた。
「それは?」
「お小遣い……お祭りなら必要でしょうから」
「う、嬉しいです!」
五月雨が瞳をウルウルさせている。タダでさえ大きい彼女の瞳が更に大きく見える。
祥高さんは続けた。
「正確には給料ですが艦娘たちは普段ほとんど外出もしませんから生きていれば貯まる一方なので心配には及びませんが……」
と、ここまで話した彼女は少し『しまった』という表情をした。
そして祥高さんは私の両親に頭を下げた。
「すみません、あまり相応しくない話題でした」
しかし母親は平然として言った。
「えぇけン、うちも軍人だ」
母親の笑顔に祥高さんもホッとしていた。その場はホワッとした雰囲気に包まれた。
これは軍関係者でなければ分からないことだ。奇麗事ではなく常に生死に臨む者たちが共有する感覚だ。
すると今度は利根が聞いてきた。
「お盆とか踊りって何するのじゃ?」
「えっと……」
こいつは長身と広島弁だから浴衣を着ても妙に迫力があるな。
すると隣の青葉さんが答える。
「亡くなった人たちを偲ぶために集って話したり食事したり踊ったり……イロイロやるんですよ」
「それなら艦娘も、お盆は出来るナ」
利根が納得している。
まあ確かに艦娘たちは日々戦いに明け暮れて、いつも生死と隣り合わせの生活だ。つまり盆踊りとも決して無縁ではない。
「なるほど、今日の墓参が妙に艦娘たちとマッチしていたのは、そういうことか?」
思わず呟く。
「Oh! 踊りってダンスのことデスね?」
金剛が悟ったように言う。
「お姉さま、ちょっと違います。盆踊りですから」
比叡がナイスフォローをする。
「どう違うネ?」
金剛の反論に今度は比叡が硬直している。
……まあ正直言って彼女も本当の意味は分かってないのだろう。
すると日向が答える。
「櫓を中心に輪になって皆が一斉に踊るものだ」
さすが「武人」だけあって、よく知っているな。
「ああ、お姉さまも連れてくれば……」
山城さんは違う方向に逝ってしまいそうだが。
「なんだか、見てて飽きンが」
母親がニコニコしながら艦娘の様子を見ている。まあ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ