暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1766話
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なくても、本来なら助けられただろう相手を助けられなかったり……という事も、あるかもしれない。
 ……まぁ、実はゆかりがチョイ役か何かで、本来なら原作が始まる前に死んでいたという可能性もない訳じゃないが。
 こうして考えると、やっぱり原作知識がないってのは、痛いな。
 いやまぁ、この世界で生きている奴は原作知識を持っていないのが当然なんだから、それで悔やむのはおかしいかもしれないが。

「行くわ。絶対に行く。もしアクセルが協力してくれなくても、私は行くわよ」
「……だろうな」

 ゆかりの気の強さを考えれば、俺の予想通りの結論になったらしい。

「なら、夜に近くなったら一度ゆかりの部屋に迎えに行くって事でいいか?」
「そうしてくれると、こちらとしても助かるわ」
「一応あの妙な塔を探索する予定だが、最初は様子見ってところだな。どういう敵がいるのか、そしてあの塔がどんな場所なのか。その辺りを最初に調べてみる。……ただ、言うまでもなく、それは今夜もあの現象になったらだからな」
「分かってる。……その辺りはしっかりと考えてあるわ。一応矢の方も用意はしてあるし」

 真剣な表情で頷くゆかりだが、シェイクを握っている手が微かに震えているのは、見て分かる。
 初めて自分から生き死にに関わる現場に向かおうとしているのだから、これが普通なのだろう。
 ましてや。ゆかりは別に戦闘訓練を受けていた訳でも何てもない、気が強いだけの女子高生なのだから。
 どうするか一瞬考え、ここで止めるかと聞いても間違いなくそれは却下される以上、しょうがないとそっと手を伸ばす。
 シェイクを握っているゆかりの手に触れ、そのまま包み込むように触れる。
 俺に握られたゆかりの手、緊張している為か……それとも冷たいシェイクに触れている為か、冷たい。

「……きゃっ、ちょ、ちょっと、いきなり何をするのよ!?」

 ここで俺の手を振り払えば、握っているシェイクが周囲に被害をもたらすと理解している為だろう。ゆかりは悲鳴は上げつつも俺の手を振り払うようなことはなく、その代わりに気の強さを発揮して、強い視線で睨み付けてくる。
 そんなゆかりの視線をじっと見て……

「どうやら震えは止まったようだな」
「え?」

 俺の言葉に、ゆかりは意外そうな声を出して自分の手を……俺に握られている手を見る。
 そこにあるのは、間違いなく震えの止まったゆかりの手。
 自分でもそれが分かったのだろう。ゆかりは俺の方を見る目の感情を、怒りから驚きへと変える。
 ……が、やがて俺を見る目は更に変わり、ジト目となる。

「ちょっと、震えはもう止まったんだから、そろそろ離してくれない?」
「そうだな。周囲の注目も集めているみたいだし」
「……え?」

 俺の言葉に、
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