第二十七話
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「うん、居るよ。すぐ行くから、待っててね?」
拓海は、その声にそう答えた。
「分かったっぽい!」
すると、冬華はタッタッタッと走っていった。
「んじゃ、そーゆーことで。」
拓海はそう言うと、立ち上がって部屋の外に出ていった。心なしか、嬉しそうだ。
「お、おう。それじゃ、お休み。」
「うん。お休み。」
ギィイー、バタン。
拓海はそう言い残して出ていった。部屋には、俺と悠人だけ。
「…………千尋、俺たちも早く恋人でも作ろうぜ。なんか悔しい。」
「同感だ。」
無性にあのやさ男に腹が立ってしまう。拓海は中学生時代、一週間に一回位のペースで告白されてた。因みに俺は心の底から女の子を好きになったことがないし、悠人は恐らくあちらの世界の人とになるのだろう。
だから、なかなか悔しい。
「あーでも、千尋はこれからの半年で恋人ができそうだな。」
酒が入っているからか、悠人はそんなことを口走った。
「はは、冗談は行動だけにしとけ。んで、その根拠は?」
たかが一日見ていただけの奴が一体何を語ろうとするのか。でも、意外とこいつ鋭いしな………ボロ出さねぇようにしねぇとな。
「俺の見立てでは、春雨って娘かな。」
「…………ほう?」
確かに、今日の昼過ぎにも春雨とはドイツ語の勉強したあとに、暫く一緒に訓練してたけども。
僕はそこから悠人がどんな理論を展開するのか、少し楽しみにしながらワインを口に運んだ。
「まず間違いなくお前に惚れてるよな。」
「ぶっ。」
俺は思わずワインを盛大に吹いてしまった。悠人はワインを頭から被ってしまっていた。
「す、すまん。ほれ、タオル。」
俺はすぐそばに置いてあったタオルを悠人に渡す。お礼を言ってそこかしこに飛んでいるワインを拭く。
あらかた何とかなった所で、俺は悠人に聞いた。
「……なんでそう思うんだよ。」
「いや、だって春雨ちゃんのお前を見る目が完全に恋する乙女だもん。あの様子じゃあ本人も気付いてないみたいだけどさ………やっぱりお前も気付いてなかったか。」
はぁ、と溜息をつく悠人。悪かったな鈍くて。
「……他には?」
「木曾さんからきいたんだけどさ、お前と春雨ちゃんって、木曾さんの昔の話を探ってんだろ?それで成り行きで摩耶さんと対決するとか言うことも。」
どこまであの娘はバカなんだ。わざわざ言うなよそんなこと。
「でもさ、どうせお前のことなんだから、春雨ちゃんを誘った訳じゃないんだろ?」
確かに、あのときは春雨から一緒に調べさせて下さいって頼まれたんだっけな。
「そ
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