第19話『剣の時代が終わる時〜ナヴァール騎士団全滅!?』【Bパート 】
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グレアストの命令。
「―――――――――斉射!!!!」
残虐非道の貴公子は口をつむいだ。
その瞬間――阿鼻叫喚の壮絶な光景が展開された。
猛々しい騎士達の『轟声』。それさえも瞬時にしてかき消してします『銃声』――
騎士達の『轟声』は狂気渦巻く戦場の中で自我を保つべく、いわば心の鎧と盾のような役目をするはず……なのだが、相対する『銀の逆星軍』の『銃声』によってすぐさまに聴覚を焼かれてしまう。
目に見えない被害は人間である騎士にとどまらなかった。
突如、馬が暴れだしたのである。
耳につんざく音――銃声。それこそが、軍馬の乗りてである騎士を振り落とそうとする。
前代未聞の轟音が大草原のビルクレーヌに木霊する。
無論、ナヴァール騎士団というのは騎兵だけでなく歩兵も組配されているのだが、中核をなすのは当然騎兵だ。
騎士の突撃命令。
『槍』陣形の生命線。それがまったく機能しなくなる――
(敵は初めからこちらを『狙い撃つ』ことを想定していなかった――)
血と肉と脂が飛び舞う光景で、オリビエはかつてない戦慄を全身で味わっていた。
(なんてことだ!こんなにも……『戦術』にも『戦力』にも差があるとは)
確かに銃の威力は驚異的だ。しかし、それを使用するのは、彼らテナルディエ等にとって消耗品に過ぎない民草の連中。命中率が高いはずなどない。
オリビエはそれを好機と見た。だからこそロランの提案である槍陣形をそのまま受け入れた。
『ジュウ』といえど、強力な『弩―アーバレスト』に過ぎないものだ。抵抗的な期待をしていなかった。
――ただ、期待していなかったのは、銀の逆星軍も同様だった――
命中率。
ただ一発にこだわらず、敵のほうへ向けて放つ。
当然狙いなどない。
命中率も悪い。
たったそれだけ――それだけなのに。
ムオジネルの如き人海物量で行われると、予測できる未来は一つしかない。
―――――――――『全滅』
だが、忌むべきその未来を否定する者がいた。
――まだだ!まだ我が闘志は尽きていない!
ロラン、怒涛の奮戦!
翻る不敗の宝剣。輝きを戦場へ示さんがために。
撤退の隙をついた銀の逆星軍の追い打ちに、二又のもう一つの『矛』であるロランが、側面から奴らのハラワタを食い破る!
「我らナヴァール騎士団はブリューヌ最強の『槍』にして『盾』なり!逆賊フェリックス=アーロン=テナルディエ!『逆星』を殲滅する者なり!」
腹の底から轟くような怒号。『獅子』の如き咆哮は、平民上がりの銃兵を恐怖させるに十二分だった。
しかし、そのような雄々しき騎士の足掻きを、冷酷な魔王は一蹴する!
「最強だと……?」
テナルディエはほくそ笑む。
火薬が生み出す煉獄を目の当たり
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