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我が剣は愛する者の為に
頼る事
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「関忠。」

丁奉は心配そうな声で縁の名前を呼ぶ。

「大丈夫だ。
 むしろ、俺の目の前に出てきてくれて好都合だ。」

縁の言葉に丁奉は首を傾げる。
縁は言葉を続ける。

「丁奉、一瞬だけ注意を引き付ける事はできるか?」

小声でそう話しかける。

「何をする気だ?」

「俺を信用してくれ。」

真っ直ぐな縁の眼を見た丁奉はわかった、と言う。
賭けてみよう、と。

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

獣のような雄叫びをあげて丁奉は、手に持っている斧を勢いよく賊達に投げる。
渾身の力を込めた斧は回転して賊達の一歩手前に落ちる。
丁奉の雄叫びと斧が飛んできたのに注意がそちらに移る。
その一瞬を縁は見逃さなかった。
刀を捨て、袖の内から何かを取り出す。
それは中指ほどの長さと幅で両端が鋭く尖ったクナイのような武器だった。
両手に一本ずつ持ち、さらに両腕を強化して統領の剣を持っている手と、右肩を狙って放つ。
注意を逸らされていた統領は、その飛び道具に反応する事ができずに縁が狙った箇所に深々と刺さる。

「ぎゃあっ!?」

咄嗟の痛みに統領は思わず剣を手放し、美奈を掴んでいる手も離してしまう。

「美奈、走れ!!」

丁奉の言葉を聞いた美奈は丁奉に向かって走り出す。
それと同時に縁は刀を取り、美奈の方に向かう。

「捕まえろ!!」

統領がそう指示すると、賊達も美奈を追い駆ける。
距離的に言えば、賊達の方が有利だ。
足の速さを考えると縁だが、美奈は子供だ。
子供が走る速度など、たかが知れている。
氣弾で賊達を牽制しようかと思った時だった。
縁の後ろから何かが通り過ぎた。
それは木刀だった。
回転しながら木刀は飛んでいき、先頭の賊の顔面にクリーンヒットする。
縁が氣弾を撃ち、追ってくる賊達を倒していく。
それらのおかげか賊達よりも早く、縁が美奈を保護する。

「縁殿!」

と、後ろから星達の声が聞こえた。
太史慈と星は縁の隣まで来て、武器を構える。
その後に何も持っていない一刀も来る。

「よく木刀なんて投げる気になったな。」

「上手い具合に行って良かった。」

満足そうな顔をして一刀は言う。
縁は美奈を一刀に渡して、賊達に視線を向ける。
人質もいないこの状況で賊達はジリジリ、と後退しつつあった。

「ち、ちくしょうがああ!!」

統領は手と肩に刺さっているクナイを抜いて地面に叩きつけ、脇目も振らずに逃げ出す。
それがきっかけになったのか、他の賊達も一目散に逃げ出した。

「ふう・・・とりあえず、一件落着だな。」

縁は刀を鞘に納刀しつつ言う。
星と太史慈も構えと解いて、ふぅ〜と安堵の息を吐く。
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