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我が剣は愛する者の為に
頼る事
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蹴る。
その速度は縁が予想していたよりも遥かに上回っていた。
それが合わさってか、初動が遅れてしまう。
丁奉は斧を横一閃に振り抜く。
咄嗟に縁はうつ伏せに倒れて、その一閃をやり過ごす。
斧が通った後は空気を荒々しく切り裂く音と風が巻き起こる。

(まともに受けたらやばいな。)

ゆっくりと考えている場合ではない。
すぐさま横に転がる。
縁の顔があった場所に、丁奉の大きな足が地面を踏みつける。
転がりながら立ち上がり、体勢を立て直す。

「その身体にしては結構速いな。」

「外見だけで判断しておると、痛い目を見るぞ。」

丁奉は忠告しながらも縁に接近する。
既にあっているよ、と呟きながら丁奉の怒涛の乱舞を避ける。
後ろに下がりながら避けていると、廃村した家の壁に背中が当たる。
気がつけば後ろの家まで追い詰められていた。
それを待ってましたかと言わんばかりの、今までとは比較にならない一撃が繰り出される。

「くっ!?」

縁は大きく跳んでその一撃を避ける。
そのまま屋根を掴んで、着地の際に出来る隙を無くす。
丁奉の一撃は壁を容易く切り裂く。
支えとなる柱が一本が切断されたのか、若干家が傾く。

(さて、どうする?)

屋根に登って戦略を考えようかと思った時だった。
グラリ、と家が大きく傾き、すぐ側から破壊する音が聞こえたのは。
丁奉は屋根に登らず、そのまま斧を使って家を破壊し始めたのだ。
予想もしなかった行動に驚きながら、縁は崩れていく家から跳び下りる。
縁が屋根から下りた所を確認した丁奉は、崩壊した家から組み立てていた部品の一つである、丸太の様な木を斧の刃で引っ掛けて持ち上げる。
そのまま縁に向かって勢いよく放り投げる。
竹トンボのように回転しながら縁に向かってくる。
腕を氣で強化して木を刀で斬り裂く。
その影に隠れるように丁奉は縁に至近距離まで接近していた。

「しまっ!?」

丁奉は容赦なく横に斧を振るう。
刀で何とか防御するも、縁の身体ごと横に吹き飛ばす。
その延長線上にあった家にぶつかる。

「済まぬ。」

それだけを言って飛んで行った縁から視線を外す。
その時だった。
丁奉の身体に氣弾が飛んできたのは。

「ぬうぅ!?」

不意打ちともいえる攻撃に丁奉はわずかに怯む。
氣弾が飛んできた方を見ると、それは縁がぶつかった家からだった。
自分が開けた穴から縁が出てくる。
大きな怪我は見られず、擦り傷などの小さい傷しか確認できない。

「氣で身体を強化しなかったらやばかったな。」

吹き飛ぶ直前に縁は氣を使って全身を強化したのだ。
そのおかげで怪我が小さくて済んだ。

「お前も人の事を言えないな。」

身体の調子を確かめる
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