ターン76 鉄砲水と紅蓮の黒竜
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ぶりね、オブライエン。でも兄さんが……どうして?」
「それも調べはついている。この件に関しては君たちの方が詳しいだろうが、かつて影丸会長の行っていた三幻魔の力を利用して不老不死の肉体を手に入れるための実験、2年前に起きたというセブンスターズ事件の後、その被験者となっていた特待生たちは行方不明となっていた1人を除いて全員解放された」
「それは僕も初耳だけど、それが藤原なの?」
思わず口を挟んだ僕にも無言で頷き、すぐ話を続ける。
「そうだ。そもそも藤原優介は丸藤亮、天上院吹雪と共に天才と呼ばれるほどの生徒だった。十代の話と俺の調べた結果を総合した仮説だが、どうも藤原はその時から君たちのよく知る力、ダークネスの力を研究していたらしい」
なるほど、そう繋がるのか。確かに三幻魔の研究にあたり藤原がダークネスの力を研究することに影丸会長が賛成、少なくとも黙認していたとすれば、巡り巡ってその力がセブンスターズの一員として僕らに牙をむいたことにも何となく説明がつく。
ただわからないのはなんで藤原の研究していたはずの力の象徴、ダークネスのマスクを吹雪さんが付けていたのかだ。やっぱりこれ以上は、吹雪さんに直接話を聞かないとダメということだろう。だがそんな視線の動きだけでも、僕の考えは明日香に伝わったらしい。口を開くより先に僕らと吹雪さんのベッドの間に割り込み、1歩も通さないとばかりにその前に立ちはだかる。
「駄目よ、兄さんはこんな状態なんだもの。鮎川先生にも聞いたけれど、まだしばらくは絶対安静よ」
「だが、明日香だって今の話は聞いただろ!真実は吹雪さんしか知らないんだ、頼む吹雪さん起きてくれ!」
今にも詰め寄って吹雪さんを強引に叩き起こさんばかりの十代と、それを険悪な目で睨みつける明日香。僕も個人的には十代寄りの考えだけど、そこまで必死じゃないぶんもう少しだけ周りが見える。はっきり言ってあれは悪手中の悪手、あんな態度じゃあ明日香だって意固地になるだけだ。このままではらちが明かないのでオブライエンにアイコンタクトし、何が言いたいか察してくれた彼と2人がかりで十代を押さえつける。そのまま扉まで引っ張っていき、そこで改めて明日香に話しかける。
「はーい、そこまで。明日香、とりあえず僕らはいったん帰るけど、どうするの?」
「私は……もう少し兄さんに付き添っているわ」
「あ、そ。んじゃねー」
大人しくはなったもののまだ不服そうな十代を外に出し、もう少し別の角度から調査を続けるらしいオブライエンのことを手を振って見送る。さて、次はこっちを説得する番だ。
「清明、お前ならわかるだろ!?今すぐにでも吹雪さんに話を聞かないと、次に何が起きるか……!」
「わかってるって。だけど、あのままだと明日香は絶対あの場所から動かなかった
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