522部分:第四十一話 周喩、病が治るのことその十四
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第四十一話 周喩、病が治るのことその十四
「任せてくれるか」
「いいのか」
カインがだ。ここで華陀に言ってきたのだ。
「グラントは私達の時代と国でもどうにもならなかったのだが」
「そちらの世界のことはわからないがな」
それはだというのだった。
「だが、それでもだ」
「頼めるか」
カインの言葉に切実なものが宿った。
「本当にグラントの命を救えるか」
「あんたにとってはなんだな」
「親友だ」
それだとだ。カインは言い切った。
「かけがえのないな」
「だからなんだな」
「助けてくれ」
カインの言葉に切実なものが宿った。
「救えるのならだ」
「わかっている。それではだ」
「じゃあ私達がね」
「アシスタントをするわ」
貂蝉と卑弥呼も出て来た。そうしてであった。
「ダーリン、麻酔使いましょう」
「それと刃も一旦火で熱してね」
「頼む、すぐに終わらせるがだ」
それでもだというのだった。華陀は今明らかに緊張の中にあった。
その緊張の中でだ。彼はグラントの手術をはじめた。そうしてだった。
数刻か経てだ。グラントは目を覚ました。その時にはだ。
華陀はその手に鉛の弾丸を持っていた。赤く塗れたそれをだ。
グラントに見せてだ。こう話すのだった。
「これだな」
「本当に取り出せたのか」
「厄介な場所にあったさ」
華陀もこのことは否定しなかった。
「だがそれでもだ」
「ダーリンの腕は誰にも負けないものよ」
「こうしたこともできるのよ」
「それでなのだな」
また言うグラントだった。胸には手術の後すらない。
その胸も見てだ。彼は言うのだった。
「俺はこれで」
「もう大丈夫だ」
華陀は満面の笑顔で彼に話す。
「心臓は何ともない」
「そうか、それではだ」
「それでは?」
「俺も。真の意味で仲間になりたい」
こう華陀に申し出るのだった。
「いいか、それは」
「ああ、宜しく頼む」
華陀はここでも笑顔であった。
「俺達は仲間だ」
「うむ」
「そしてだ」
カインもここで出て来た。そうしてだった。
彼もであった。華陀達に言うのだった。
「よくグラントを助けてくれた」
「医者として当然のことだ」
「だが。助けてくれたのは事実だ」
カインがここで言うのはこのことだった。
「どれだけ礼を言っても足りない」
「いいからいいから」
「気にしなくていいのよ」
貂蝉と卑弥呼もそのカインに話す。
「それよりもよ」
「貴方もなのね」
「本当の意味で仲間にさせてもらいたい」
こう申し出るカインだった。
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