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大統領 彼の地にて 斯く戦えり
第二十五話 悪所進出&園遊会
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てペルシャールの横にいたシェーンコップの無線に通信が入ってきた。

『アヴェンジャー。こちらアーチャー、送れ』
「こちらアヴェンジャー。どうした?」
『騎馬の小集団五騎が警戒線を超える。招待客ではないが、身なりはよく盗賊の類には見えない。此方で対処するか?』
「アーチャー。監視を続行せよ」
『了解』

「閣下?」
「ああ聞いていた。直ぐに議員達を退避させようか。我々はまだ表向きには接触していないことになっているからな」
「では悪所に近い南東門に。あそこなら気づかれにくいでしょう?」
「ふむ、確かにそうだ。そうしてくれ」
シェーンコップは急いで部下たちに撤退準備を始めさせると倒れたピニャを担いでいるペルシャールに手を貸した。
「手のかかるお姫様ですなぁ」
「あぁ、全くだ」
二人の意見が一致した瞬間、部下が車を回してきた。中にはすでに議員達も載っているようで、皆少し不安そうな表情であった。ペルシャールは議員達に安心するよう声を掛け、車列を見送った。
二人は議員と部下の撤退を確認するとピニャを少々手荒に揺さぶって意識を戻させた。
ピニャの意識が戻ったのを見るとペルシャールは彼女に手っ取り早く状況を説明し、園遊会はこのまま続けるように指示すると、ピニャは直ぐに園遊会へと引き換えした。
起きたばかりでふらついていたので菅原が横でピニャを支えながらと言う形ではあったが……。


ピニャと菅原が園遊会に戻ると、そこにはゾルザルの姿があった。

「おぉぉおおおおお!!!!これは上手い!!素晴らしい味だ!!」
古田の焼いたマ・ヌガ肉を両手に持ち、マスタードをこれでもかと言うほどかけまくると、それを口に放り込んだ。そして最後にワインで流し込むという荒業である。
そんな豪快な食べ方を古田は苦笑いしながら見続けるのであった。

ピニャと菅原の二人は”何しに来たんだこいつ”と言わんばかりの表情で遠目からゾルザルを見るのだった。


「ではなっ!!フルタよ、例の件しかと考えておいてくれ!!」
30分ほど鯨飲馬食するとゾルザルは馬に肉とマスタードの入ったツボを幾つも括り付けて帰って行った。

ピニャと菅原はゾルザルを寄越したのは皇帝の右腕と言われるマルクスだということを重く受け止め、早急に講和交渉を進めなければと改めて思うのだった。


園遊会も終わり、拠点に戻ろうとする菅原は古田に先ほどの事を聞いていた。
「そう言えば、古田。さっきゾルザル皇太子に何か言われていたが、あれは?」
「えぇ、私の焼いた肉を大層気に入られまして、”俺の料理長になってくれ!”と」
「そうか……」

後にこの話を聞いたハイドリヒが古田にゾルザルのスパイを命じるのだが、それはまだ少し先の話である。



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