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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
519部分:第四十一話 周喩、病が治るのことその十一

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第四十一話 周喩、病が治るのことその十一

「もう一つね」
「もう一つ?」
「目を閉じて」
 こう華陀に言うのである。
「その目をね」
「目を」
「そう、目を」
 それをだというのだ。
「目を閉じてくれるかしら」
「?どうしてなんだそれは」
「いいから閉じてくれるかしら」
 周瑜の言葉はここでは強いものだった。
「御願いがあるけれど」
「御願いか」
「そう、それよ」
 まさにそれだというのである。
「それは御願いできるかしら」
「どうしてもだな」
「そう、どうしてもね」
「わかった」
 周瑜の強い願いの言葉にだ。華陀も遂に頷いた。そうしてだった。
 目を閉じるとだ。そこにだ。
 周瑜は己の唇と自分の唇を重ね合わせた。一瞬だったが確かにそうしたのである。
 それからだ。華陀に言うのだった。
「もういいわ」
「?さっき何か」
「気にしないで」
 華陀に考えさせなかった。それ以上はだ。
「終わったから」
「一体何が終わったんだ?そういえば唇には」
「何もなかったわ」
 やはりこう告げる周瑜だった。
「だからね」
「そうなのか。じゃあそう考えさせてもらう」
「そうしてもらうと助かるわ。御礼はこれで終わりよ」
「そうか」
「ええ。また機会があればね」
「そうだな。機会があればまた会おう」
 華陀は周瑜の今の言葉には笑顔で応えた。
 そうしてそのうえでだ。その周瑜にこうも言うのだった。
「今度は病のことではなくだ」
「病ではなくか」
「楽しく酒でも飲もう」
 こう話すのだった。
「それでいいな」
「酒か。酒は好きだ」
「そうか、あんたもか」
「ええ。じゃあその時はね」
 華陀を見てだ。笑顔で話す彼女だった。
「楽しくやりましょう」
「それじゃあな。俺はこれでな」
「また別の場所に行くのね」
「俺にはまだ治すべき者と倒すべき病がある!」
 言葉は強いものになった。
「だからな」
「その貴方だから天下も救えるわ」
「天下もか」
「ええ、必ずね」
 そうなるというのである。
「必ずね。できるわ」
「そう言ってもらうとやはり嬉しいな」
「そうなのね」
「ああ。じゃあ俺はだ」
 旅立つというのであった。そうしてだった。
 彼はあらたな場所に向かうのだった。その彼のところにだ。
 あの二人がだ。早速来たのである。
「ダーリン、やったのね」
「また病を倒したのね」
「ああ、そうだ」
 華陀は自分の左右にいるその彼等に応えたのだった。

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