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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第五話 不安の始まり
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佐世保第十三鎮守府の執務室だった部屋で凰香達は提督代理と名乗る艦娘『金剛』と対峙していた。

「………歓迎しているのですか?」
「ハイ、もちろんデース」

凰香の問いに金剛は朗らかな笑みで返す。一見すれば友好的に見えるが、『凰香達に向けられている砲門』を見れば、それが嘘であるということが一目瞭然である。
さらに言えば、金剛が浮かべている笑顔も『作られた笑顔』である。それらから金剛が凰香達を歓迎していないのは明らかである。大方、先ほどの砲撃で凰香達を抹殺しようとでもしたのだろう。
だが、ここでそのことを指摘すればまた面倒なことになる可能性がある。
凰香はそのことを皮肉交じりに言った。

「挨拶代わりに砲撃とは、随分と過激な歓迎方法ですね。それとも、ここでは砲撃が挨拶なのですか?」
「それはアナタが紛らわしかっただけデース」

凰香の言葉に金剛がそう返す。金剛の言う通り凰香は提督が着る白色の制服ではなく、いつも通りの服装である。そのため、不審者と間違えられても仕方ないだろう。まあ時雨、榛名、夕立の三人がいる時点で軍関係の人間であることはわかるはずなのだが。

「とりあえず、今後ともよろしくお願いします」

凰香はそう言って手を差し出す。普段の凰香なら決して自分から手を差し出すようなことはしないが、『社交辞令は大切に』と海軍大学で凰香の教官役だった艦娘に散々言われたため、今回自分から手を差し出したのだ。表情はいつも通りなのだが。
それに今後世話になってくるので、早めに打ち解けられるなら打ち解けた方がいい。

「では、部屋に案内しマース」

しかし、金剛は凰香が差し出した手を見向きもせずにくるりと背を向け、先に執務室を出ていった。大方、凰香のことを『役立たずの小娘』とでも思っているのだろう。まあ、凰香は金剛の反応を見ても何も思っていないのだが。
凰香は手を引っ込めると、榛名と夕立をチラリと見た。榛名と夕立、特に榛名は金剛の様子が信じられないというような、悲しそうな表情を浮かべながら金剛の背を見ていた。

「やれやれ。ここまでくると逆に清々しいわね」

防空棲姫が金剛の背を見ながら苦笑いして言った。もちろん防空棲姫は凰香達にしか見えていないので、金剛に防空棲姫の声は聞こえていない。
凰香達は金剛の後を追って執務室を出る。
近すぎず遠すぎずの距離を保って、金剛の後ろについていく。その道中で様々な艦娘達を目にした。
学生服っぽい服を着た駆逐艦、女性用海兵服やOLのような制服を着た軽巡洋艦や重巡洋艦、弓道の道着に胴当てをつけた空母、戦闘員服のような服や和服を着た戦艦など様々な艦娘がいるが、共通しているのは凰香達に向ける目に友好的な雰囲気がないことだ。すきあら
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