第五話 不安の始まり
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た。
「あの子に怖い思いをさせてしまったことが私達の………いえ、私の一番の非です。それに関しては、本当にすみませんでした」
凰香はそれだけ言うと、曙に向かって頭を下げる。すると、今まで黙っていた時雨が口を開いた。
「……黒香提督だけじゃない。君がいることに気がつけなかった僕にも責任はある。本当にごめんなさい」
時雨がそう言って曙に頭を下げた。時雨も同じように責任を感じている。
凰香と時雨が頭を下げると、上から息を呑むような音が聞こえてきた。
「………なるほど、わかりマーシタ……曙」
「っ!?」
金剛が曙に声をかけると、曙が小さく声を上げる。まさか自身に振られるとは思ってもいなかったのだろう。尚、凰香に対する低い声から何処か柔らかい感じになっているのは気にしない。
「今回の件、貴女に一任しマース」
「はあ!?な、なんであたしが!!」
金剛の言葉に曙が驚愕する。そして抗議するように金剛に詰め寄る。しかし金剛は表情を変えることなく言った。
「今回の件は許し難いこと。しかし、テートクも他意があったわけではないみたいデース。それにテートクと時雨は貴女に謝罪していマース。貴女に判断を委ねるのが道理だと思うのデスガ?」
「そ、そんな……あたしは………」
「駄目だよ曙ちゃん!!」
金剛の言葉に曙が口ごもると、曙と同じセーラー服に癖っ毛のある黒い長髪の艦娘がいきなり叫ぶ。背丈や顔立ち、曙と同じセーラー服から駆逐艦と思われるが、金剛や榛名に引けを取らないレベルの胸部装甲が一瞬だけ判断を鈍らせた。しかし、凰香はすぐに十中八九駆逐艦であると判断した。
そんな駆逐艦の艦娘は曙に詰め寄り、肩を持って必死の形相を向ける。
「あいつはあんなこと言ってたけど、全部嘘に決まってる!!初めから曙ちゃんの身体目当てに決まってるの!!女の人でも結局は男の人と同じことしか頭にないの!!人間なんて本能に赴くままに女の子を襲う醜い獣なんだからぁ!!」
「『潮』、落ち着くデース」
金剛が曙に詰め寄る『潮』という名の艦娘を引き剥がす。潮は引き剥がされても、なお口々に人間に対する暴言を吐き続けた。そのため、見かねた金剛が曙を囲んでいた艦娘に潮を落ち着かせるように言い、彼女達を部屋から退出させる。
「………さて、曙。どうしマスカ?」
凰香と時雨、金剛と曙の四人だけとなった部屋で、金剛が改めて曙に問いかける。その言葉を恐れるかのように曙が身体をビクッと震わせ、凰香と金剛を交互に見ながら俯いてしまう。
「………曙?」
「……ク、クソ提督!!」
金剛がそう問いかけた瞬間、曙がそう声を荒げながら顔を上げ、キィッと凰香を睨みつけてくる。そ
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