第五話 不安の始まり
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に付けられたものだということがわかる。
「これをやったのは金剛かな?」
時雨がそう聞いてくる。凰香は時雨の方を向いて言った。
「わからない。でも、聞いてみる価値はあるね」
「なら、早速聞きに行ってみましょう」
防空棲姫がそう言ってくる。凰香は汚された服を一枚手に取って、金剛の元へ向かおうとした。
「待てよ」
凰香が金剛の元へ向かおうとしたとき、扉の前に二人の艦娘が立ち塞がっていた。一人は黒いブレザーに黒いスカート、青みがかった黒のセミロングに左眼に眼帯をつけた金色の右眼、そして頭の左右に龍の角のような機械が浮かんでいた。
もう一人は胸元が白色の黒いワンピースのような服に紫がかった黒のセミロング、紫色の瞳に左側の頬には泣き黒子が付いており、頭の上には円盤のような機械が浮かんでいた。おそらく、二人とも軽巡洋艦の艦娘だろう。
「誰ですか?」
「天龍型軽巡洋艦、一番艦の『天龍』」
「同じく天龍型軽巡洋艦、二番艦の『龍田』でーすぅ」
凰香が二人に聞くと、『天龍』と名乗った眼帯をつけた方は冷たい目を向け、『龍田』と名乗った泣き黒子のついた方は笑顔を浮かべているものの、眼は全く笑っておらず、それぞれ答えてきた。二人とも凰香に敵意を抱いていることは明らかである。
凰香は無表情のまま言った。
「すみません、そこを退いてくれませんか?」
「今から金剛の所に行くって言うのなら、尚更退けねえな」
そう言った天龍の眼が冷たいものから刃物のように鋭いものへと変わる。
別に凰香はこれが金剛の仕業とは一言も言っていない。ただ、これをやったのか?と金剛に確認しに行くだけだ。
凰香は天龍に言った。
「提督命令です。そこを退いてください」
「俺らはお前みたいなガキを提督なんぞと思っちゃいいねえ。だからその『懇願』を受ける気はねえ」
天龍が鼻を鳴らしてそう言ってくる。どうやら提督と思っていないものに従う義理はないらしい。
だが、ここで凰香も折れる気は微塵もない。
「あなた達がどう思うと勝手ですが、私があなた達の上司であることには変わりありません。従ってもらーーーー」
「お嬢ちゃーん」
凰香の言葉を、龍田の甘ったるい声によって遮られる。それと同時に、凰香の目の前を鋏の刃が掠める。
「あんまり我が儘言ってると、その舌切り落としちゃうわよぉ〜」
先ほどの笑顔から程遠い冷えきった表情の龍田が低い声で囁いてくる。凰香は黙って聞いているだけだ。
「……ね?」
龍田は最後にそう言い残し、壁に突き刺さっている鋏をさらに捩じ込みながら笑顔を向けてきた。表情をコロコロ変えられる辺り、このことに慣
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ