第五話 不安の始まり
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して大股で凰香の前に近づいてくると、大きく手を振り上げた。
ーーーーパァン!ーーーー
乾いた音が室内に響く。
それと同時に凰香の頬に鋭い痛みが走り、すぐに熱を帯び始める。曙は痛みに顔を顰めたが、すぐさま表情を戻し赤くなった手で凰香を指差してきた。
「今後こんなことをしたら容赦なく砲撃するから、覚悟しなさい!!」
曙はそれだけ吐き捨てると、逃げるように部屋を飛び出す。
彼女の足音が段々遠退いて聞こえなくなると、金剛が口を開いた。
「……曙に感謝することデース」
金剛はそれだけ言うと、凰香と時雨を残して部屋を出ていく。
「……なんかずっとど突かれるような感覚がすると思っていたら、大変だったみたいね」
凰香と時雨が何も言わずに部屋の中で立っていると、いつの間にか起きた防空棲姫が壁をすり抜けて部屋の中に入ってきた。それに続いて扉が開き、榛名と夕立も入ってくる。
「凰香さん、大丈夫ですか………?」
榛名が心配そうに聞いてくる。凰香は榛名に言った。
「……ええ。あの子の恐怖心に比べたらこれなんて軽いものよ」
凰香はそう言って自分の頬に触れる。
凰香の言う通り、無防備な状態の時にいきなり恐怖の存在である人間と鉢合わせしてしまった時の曙の恐怖心は計り知れない。それに比べたら凰香の傷なんて大したことはない。
すると防空棲姫が言った。
「まあ私は二人を責める気はないけど、これからは気をつけなさいよ」
「………うん。同じことを起こさないように気をつけるよ」
防空棲姫の言葉に時雨が頷く。それを聞いた防空棲姫が言った。
「………さて、いつまでもうじうじしていても仕方ないから、お風呂に入ってご飯を食べましょう」
「……そうだね、そうしよう」
「じ、じゃあ早速行きましょう!」
凰香の言葉を聞いた夕立が気を取り直すように言った。
風呂に入る前に凰香達は荷物を回収するためにドックへと向かったのだった。
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