第五話 不安の始まり
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ば、凰香を殺そうとしている艦娘もちらほらいる。そして凰香と共にいる時雨、榛名、夕立にもその目が向けられていた。時雨は微塵も気にしていないが、榛名と夕立は凄まじく居心地の悪そうな感じだった。
(これまた面倒ことになったわ)
凰香はそう思った。まあ、そのことは最初からわかっていたことなのだが。
すると前方を歩いていた金剛が立ち止まり、凰香達の方を振り向きながら横の扉を指差して言った。
「ここがアナタ達の部屋デース。必要なモノや本部からの荷物は昨日のうちに届いているので確認お願いしマース。あと艤装は工廠の方に置いてあるので、そちらも確認お願いしマース」
「ここの説明はないのかい?僕達、ここ初めてだから右もも左もわからないんだけど」
時雨がそう言うと、金剛があからさまに嫌そうな顔をする。少しは隠そうとした方がいいが、今はどうでもいい問題である。
すると金剛が面倒くさそうにため息を吐いてから言った。
「……その資料も中にありますので、読んでくださいネ?ではワタシは忙しいので、これで失礼しマース」
時雨の問いに金剛は冷たく返し、そのまま立ち去っていった。これ以上は何を言っても無駄だろう。時雨もそのことをわかっているようで、金剛に何も言わずに肩をすくめる。
金剛の姿が見えなくなると、凰香は部屋の扉を開けた。そして部屋の中を見た瞬間、凰香はつぶやいた。
「……へえ、なかなかおもしろいことをしてくれるね」
そう言って、部屋の中へと入っていく。時雨、榛名、夕立の三人は一瞬凰香の言葉が理解できなかったようだが、部屋の中を見て理解したようだ。
「………確かに、これはおもしろい真似をしてくれたね」
「そんな………!」
「こんな…ひどいことを………!」
榛名と夕立は目を見開いて驚愕し、時雨は冷静につぶやくが、その声には怒りが滲み出ていた。
部屋は結構広く、五人で生活するのに問題ない広さだ。二つの机に分厚い本が並べられた大きな本棚、両壁際に置かれた二つのベッドとクローゼットなど、最低限の準備はしてくれていた。しかし、部屋の中央には土や泥、木の葉などで派手に汚されたーーーー海原少将が送ってくれた荷物が散在していた。
近くに落ちていた本を手に取ってみると、中のページまで泥水を吸ってしまっているため、もう読むことができない。中にはビリビリに破かれている本もある。凰香が持ってきた本全てがその状態であった。
本のそばにある服を入れた段ボールの中には泥が詰め込まれていた。しかも、ご丁寧なことに服の一枚一枚に泥が塗りつけられている。
しかし、時雨、榛名、夕立の三人の荷物には一切土や泥、木の葉などの汚れは一切付いていない。そのことから、この汚れは凰香だけを標的に人為的
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