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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
番外編 第3話 『大好き』
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の中にあるのだから。
「リュウキ……。はや、と……っ」
「……シノンは、詩乃は今のオレにとっても大切な人だ。詩乃が言っているオレの大切な人もきっと、
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(
・
)
のオレにとっては 間違いなく大切な人なんだろう」
「っ…… ま、まえ……の?」
「ああ」
リュウキはゆっくりとシノンを離してシノンの目を見た。
「全部話すよ。……さっきまでオレは今までに感じた事のない感覚に包まれていたんだ。何かが切り離される様な感覚。云わば分離した、って言うのが正しいかもしれないな」
「え……?」
「だけど、シノンの事ははっきり判る。……覚えてる。今のオレにはシノンの事しか覚えていないんだ」
部分的な記憶喪失とでも言うのだろうか。
でも、そんな事が本当に可能なのか? そして それ以上に……。
「りゅ、リュウキ。元に、元に戻るの……?」
それが不安だった。
確かに自分の事を想ってくれるのは嬉しい。本当に嬉しい。だけど それと同時にレイナの笑顔も頭に浮かぶんだ。
あの笑顔を崩したくない。あの笑顔を泣き顔になんか絶対にしたくないんだ。
「ああ。……大丈夫だ。ほら、見えるか?」
「え?」
リュウキは自分自身の頭上を指さして、シノンもそちらに視線を向けた。
そこにあるのは数字、タイマーだった。
「これが無くなれば、元に戻るんだろうな。……自分自身でそう言うのは何だか違和感があるがな。……後は、今の事を、オレが覚えているかどうかが判らないんだ。……多少の思い上がりがあったかも、な」
覚えていない、というのがこういう事を言うのだろうか。
リュウキにとっては不思議な感覚だった。
自分自身の事は判るのだが、思い出せない事も多い。
いや、思い出せないと言うよりは 心の中の大部分がシノンでいっぱいになっている、と言う感覚だった。
今のリュウキには知る由も無い事だが、もしも リュウキ以外の人がこの剣とシノンに負けない程の想いを持った人の一撃を受けていたら、完全な虜になってしまうのだ。問答無用で魅了される効果を持つのだが、少々効果が違って出ている。それがシノンにとって良い事なのか、悪かった事なのか。……それはシノンの顔を見ればよく判る事だった。
「ただ……」
「え……? どうしたの?」
リュウキはシノンの顔を見て 少しだけ寂しそうな表情に代わっていた。
「多分。……このカウントが0になれば、元に戻る。……今のオレがどうなるか判らない。シノンの事を支えるって言ったのに。オレが……」
リュウキの表情の理由。シノンには判った。
誰よりも優しいからこそ、今の自分がいなくなってしまうと言う事を危惧している。シノン以上に不安に思っていると言う事だった。
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