栄光なき軍師 〜小さいおじさんシリーズ18
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的な戦略レベルでは…どちらかというと慎重派であったな」
「…ですな。董卓の件しかり、?州の戦いしかり、官渡の戦いしかり。基本的には『自滅を待つ』戦略立てを得意とする軍師であったと云えましょう。…だからこそ、丞相Sの鼻につく不自然な僭称を嫌ったんでしょうかね、鼻につくし」
「やかましいわ!!…まぁでもそんなところだろうよ。なまじ頭が良い分、突飛な行動をとった場合、周囲に与える衝撃やら反感の中身がリアルに想像できて苦悶の日々だったのであろうなぁ。…でだ、魏にほんの一時期だが、禰衡とかいうクッソ腹立つ浮浪者が巣食ったことがあったんだが…そいつに『荀ケは弔辞を述べる係に向いている』とか減らず口を叩かれたその夜」
「…まさか自殺未遂?」
「…もうな、どの思考回路がどうやって自殺って結論を導き出したのやら…『弔辞』って一言が何かの回路に作用したらしいんだよなぁ…」
「あれはなぁ…その容姿の秀麗さを醜男の禰衡が妬んだだけの話だろうに…美男にはよくある話よ。ふん…」
「貴方のように『美男の俺に妬いちゃってんの?』的な図々しい思考回路を持ち合わせていれば、自殺騒ぎにならなかったでしょうにねぇ…同じ軍師でどうしてこうも解釈が異なるのやら」
剣の柄に手をかける端正を面倒くさそうに片手で制し、豪勢は続けた。
「最悪のシナリオを想定して対策を怠らない、というのは軍師としては美点なのだが、それを私生活でも発揮されまくってみろ。貴様らの想像を絶する面倒くささだからな」
豪勢が列挙した≪軍師J 自殺未遂の理由≫は、聞いてるこっちが鬱になりそうな内容だった。
豪勢が少し深酒すると『丞相の健康管理が出来ない軍師は不要との暗示。死のう』
豪勢への反逆を仄めかす密書が届くと『密書を送られた時点で応じようと応じまいと言い逃れは出来まい。死のう』
飢饉で兵糧が足りず呂布を取り逃すと『呂布を生かし私を殺す天の意志。死のう』
家の梁に縄が掛けられるたびに家族やら同僚やらが駆り出されて荀ケを羽交い絞めにする大騒動だったが、何故か史実には残らなかった。
「半期に一回のペースでそんな感じになってたんだが…年をとってある程度シャレが通じるようになってたから油断してたわ、余も家族も」
「それ、躁鬱病とかいう心の病らしいですね…状況そのものより、季節の変わり目に起こりがちな…」
それでか!!半期に一度の自殺騒動ってのは!!
「―――もう2000年も前に終わった話だ。何が原因かとか、正直もうどうでもいいのだ。ただ問題はな」
『この世界』の法則として、余らの話題に上がった武将が押入れの襖から現れがち、というのがあるだろう?そう呟き、豪勢は背を丸めた。
「嫌ってるわけじゃないんだが、あいつとは仕事以外に関わり合いになりたくないんだよ。分かるだろ?」
「
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