ペルソナ3
1764話
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行動を取ってくれた相手を確認する為、そちらに視線を向ける。
すると俺の視線の先にいたのは、大柄な男だった。
冬らしくコートに身を包んでおり、頭に帽子を被っている。
それなりに大柄な男で、今の……10代半ばの俺の姿と比べると明らかに背が高い。
「もう、その辺にしておいたらどうだ? そいつ等も自分が馬鹿な真似をしたというのは分かっているだろうしな」
「……そうだな。用事も果たしたし、もうこいつらに用はない」
「何?」
俺の言葉を疑問に思った男が、訝しげに目を細める。
意外と強面な顔つきをしているな。
だが、この状況でこの男が出てきたという事は、何気にこの男が面倒見のいい性格をしているという事も表している。
そう、こういう男に用事があったのだ。
面倒見がいいという事は、こっちにとっても接しやすい相手なのは間違いない。
勿論、この男をあからさまに利用しようとすれば、向こうもこっちに相応の態度を取ってくるだろうが。
それは逆に言えば、あからさまでなければいいという意味でもあるのだ。
ましてや、周囲の者達の様子を見れば、この男が一目置かれているは確実だった。
まさに俺が探していた……釣り出そうとしていた人物の条件にこれ以上ない程に合っている。
そして何より、この男には他の連中にはない……そう、何か違和感のようなものがある。
その違和感が何なのかは、俺にも分からない。だがそれでも、この男が何か重大な鍵を持っているのは間違いないように思えた。
「おい、荒垣だぜ?」
「……あいつが出て来たら、あの生意気な小僧も終わりだな」
「俺、以前荒垣が頭突きで人を吹き飛ばしているのを見たことがあるんだけどよ」
「うっそ、マジ?」
「格好いいわよね。今度誘ってみようかしら」
「止めておいた方がいいわよ? 彼、女からの誘いには乗らないって話だし」
そんな風に聞こえてくるのを耳にすると、やはり俺の目の前にいるこの男……荒垣だったか? この辺りでもそれなりに高い影響力を持っている男らしい。
「へぇ、じゃあ、お前とちょっと話させて貰おうか」
「……俺と?」
「ああ。残念ながら、俺が話そうとしていた相手はこの有様だしな」
俺に絡んできた男達を一瞥し、改めて荒垣に対してそう告げる。
向こうはじっと俺の目を見返し、やがて頷く。
こいつ、何だ?
妙に鬱屈した目をしてるな。
この平和な世界でこんな目をしている者がいるというのも珍しい。
俺に絡んできたような奴等の、表面的な……言うなれば薄っぺらい感情とは違う、もっと深い部分にある鬱屈の感情。
そんな思いの込められた視線が、俺の視線を見返している。
勿論この世界が本当の意味で平和な世界だと思っている訳ではない。
事実、
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