514部分:第四十一話 周喩、病が治るのことその六
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第四十一話 周喩、病が治るのことその六
「そうだな」
「まさかと思うが公勤殿の風邪のことを」
「風邪、か」
銃士浪の今の言葉に、だ。男の顔が鋭くなった。そうして言うのだった。
「そう言っているのだな」
「違うというのか?」
「いや、何でもない」
そこから先は言わない彼だった。しかしであった。
銃士浪に対してこう言ってもきた。
「それでなんだが」
「うむ。どうしたのだ」
「ここの主の孫策殿に会いたい」
「孫策殿にか」
「医者が来た。こう言ってくれ」
「御主は医者だったのか」
「そうだ、名前は華陀」
ここで自分の名前も名乗った。
「こう言ってくれ」
「華陀か。名前は聞いている」
「俺のことを知っているのか」
「各地で病を治している医者だな」
「ああ、そうだ」
まさにそうだというのである。
「だから来たのだがな」
「話はわかった。それではだ」
「案内してくれるか」
「俺も周瑜殿の風邪はな」
「どうにかしたいんだな」
「風邪は寝ていればなおる」
銃士浪はこうも言った。
「しかしそれだけで不十分な場合もあるからな」
「そうだ、風邪は万病の元だ」
「だからこそ油断せずにだな」
「その通りだ。風邪はすぐに完治させる」
「ではな」
「行くとしよう」
こんな話をしてだ。華陀は周瑜のところに向かった。その時にだ。
廊下を進む彼等の前に孫策がたまたま来た。するとい彼女はまず銃士浪に対して声をかけた。
「あら、こちらの格好いい人は誰かしら」
「医者らしい」
こう孫策に返す彼だった。
「名前は華陀だ」
「あっ、そういえばその赤い髪は」
ここで孫策も気付いたのだった。
「そうね。あの天下の名医華陀ね」
「名前も知ってるのか」
「ええ、有名だからね」
それでだというのである。
「私も聞いたことはあるわ。会うのははじめてだけれど」
「そうか」
「ただ。見たところ本人らしいけれど」
孫策はその勘からこのことを見抜いていた。
「それでも確かめたいけれどいいかしら」
「ああ、いいぞ」
華陀も笑顔で彼女の言葉に応えた。
「それでどうやって確かめるんだ?」
「五斗米道ね」
「違う!」
華陀はその呼び方にはムキになって言い返すのだった。
「その言い方は違う!」
「じゃあ何て呼ぶのかしら」
「ゴオオオオオオオオッド米道!だ!」
ここでもこう力説する彼だった。
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