35:大切なもの
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た。
――だが……攻撃の出の速さなら……片手武器の俺に分がある……!
俺はすぐさま、ユミルのその挙動の倍以上の、霞む様な速度で剣を振り上げ――
「これでっ……終わりだ、ユミルッ!!」
俺は大鎌よりも間一髪速くユニコーンへと、出の早い単発ソードスキル《バーチカル》を振り下ろすべく、剣の柄に力を込める。
キュィィンという効果音と共に、剣にソードスキルの青いエフェクトライトが灯り――
――しかし、その直後。
「――……え!? ま、待って……待ってください!! ダメッ、ダメですキリトさんっ!! そのユニコーンはっ――」
という、遠く背後に居るシリカの絶叫。
しかし、発動しかけているソードスキルを中断する事はできない。スキルアシストが、俺の体を万力のような力で勝手に動かし、その青に輝く刃がユニコーンへと打ち下ろされようとしている。
…………そして俺は、続けて出されるシリカの絶叫に、今度こそ驚愕した。
「――――そのユニコーンはっ……ユミルさんの《使い魔》ですっっ!!」
――俺は以前、シリカに聞かされたことがある。
この事は《ビーストテイマー》の絶対数が極めて少ないので、必然的にほとんど知られていない事なのだが……プレイヤーは、モンスターの飼い慣らしに成功することで《テイミング》スキル、なるものが習得されるのだそうだ。
そのスキルは自分の使い魔と共に過ごす事で少しずつ上昇していき……やがて『命令できるバリエーションが増加』したり『使い魔が言う事を聞く確率が上昇』したり『使い魔が危機に陥ると飼い主にヘルプを送る能力を習得』したりするなど……段階的に能力がアンロックされていく。
ここまで話を聞いて感じた人もいるだろうが……その限定的かつ、非常に微妙な特典のせいもあって、情報屋すらもあまり熱心にこの情報を扱わなかったことが、さらに世間に知られない事態に拍車を掛ける結果となった。
今回、シリカが目の前のミストユニコーンがユミルの使い魔であると見抜けたのも……その《テイミング》スキルの一つ、『敵Mobと使い魔を見分けることが出来る』という能力があってのことだった。
――しかし。
その警告は遅すぎた。
え?
俺が頭の中でそう思った時には、もう手遅れだった。
ごくごく僅かな事前動作を完了した《バーチカル》の斬撃が、凄まじい速さでユニコーン目掛けて吸い込まれていく。
その時。
「……うおああぁぁあああっ!!」
咆哮を上げたのはユミルだった。
彼は、大鎌を振り上げてはいなかった。振り上げていた訳ではなかった。彼は……その手の大鎌を、空に放り捨ててい
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