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殺人鬼inIS学園
第二十三話:連行
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語である。だが、その表情は憮然としたもので、ラシャを睨みつけている。

「何故此処に連れて来られたかを説明させて頂きます」

 男は、手に持ったケースから様々な書類や写真を並べていく。持ち手に手錠が装着されており、今も尚男の手に繋がれていることから、重要な書類の一種であることは想像に難くない。

「そんなことより、ここはどこであんたは何者なんだ?何故こんなことをする?」

 うんざりした表情のラシャが手錠をかけられたままの腕を挙げて制止したが、男は視線さえ寄越さない。

「申し訳ないが、答える事は出来ない」

 冷たく返事を返されるも、ラシャは両腕を机に叩きつけた。うんざりした表情で男が此方を振り向く。

「悪いが納得できないな。代表候補生とかを拉致るならわからんでもないが、只の平用務員を態々連れ出す意味がわからない」

 安い挑発だが、今出来ることはこれしか無かった。対する男は軽く溜息をつくと、机に拡げていた資料の一枚を手に取った。

「貴方は重要参考人として連行しました」

 そう一呼吸置いて資料を手渡す。そこに印刷されていたのは右脚を失い、顔面を潰された銀髪の女性の遺体写真だった。小人の妬心に駆られて命を縮めた代表候補生が脳裏によぎる。ラシャはあくまで一般人を装い、嘔吐を堪えるように口元を両手で覆い、えずいた。

「この写真の人物に見覚えはありますよね?」

「ようやく忘れてきていたのに思い出させてくれてありがとうございます」

 ラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツ代表候補生だった(・・・)少女。IS部隊「黒兎部隊(シュヴァルツェア・ハーゼ)」元隊長にして少佐の地位にいる。忘年某月某日、IS学園に於いて突如装備していた専用機「シュヴァルツェア・レーゲン」の暴走事故により死亡。遺体はドイツ本国へ送還された。というのが公式の記録である。
 無論、真実は記録とは食い違っており、彼女は事故死ではなくラシャの手によってこの世から去ったのだ。経緯は完全にラウラの自業自得なものであったが、仮にも代表候補生を殺傷したということは明らかな国際問題になる。故に学園はいち早く事態の是正を行い、この件が明らかに事故による悲劇であったという体裁を整えた。
 しかし、納得しない輩という存在はいつの世も一定数存在する。

「彼女の死に納得がいかない人達が居ます。ボーデヴィッヒ少佐がまとめていたIS部隊メンバーたちです」

 ラシャは苛立ちにより、顔筋が痙攣しているのを冷静に感じ取っていた。既に起きたこと、過ぎたことを悔やんでいても始まらないことは百も承知だが、もし過去に戻れるのであれば、この面倒事を引き起こした落とし前としてもう少し痛めつけておくべきであったと後悔した。

「それで、私にどうしろと?彼女らの前で隊長
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