第4章:日常と非日常
第116話「兄として・後」
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い感じでそう答える。
「…それで、なんで俺に話しかけてきた?誤射した俺を憐みにでも来たのか?……悪いが気が滅入っているんだ。変にキレてしまう前にどっか行ってくれ」
「そうですか…。では、今日はこれぐらいで」
酒の入ったコップを見て、優輝もこれ以上深入りするのはダメだと判断した。
そのまま優輝は元の席に戻った。
「…あっさり引き下がったわね」
「さすがに踏み込めないさ。…あれに近い状態に僕もなった事があるからね。彼のためにも、今はここで退いておいた方がいい」
シュネーが人体実験された時、緋雪が死んだ時。
優輝も彼と同じような精神状態に陥っていたのだ。
だからこそ、踏み込まなかった。
=優輝side=
「……ここが宿舎か」
狙撃手…ヴァイスさんとの邂逅から数日後。
僕はそのヴァイスさんがいる宿舎に来ていた。
「……いた」
話に寄れば、今は有給を取って気を落ち着けているらしい。
探してみれば、案外簡単に見つかった。
「…なるほど。時間を置いたのね。でも、結局踏み込むのね」
「そのまま立ち直れたらいいんだが、僕という前例から見たら…な」
もし、平気そうだったら一言二言程度話しかけるぐらいで済む。
…が、どうやらそれはなさそうだ。
「…あんたらは……」
「この前会った時と同じ…いえ、むしろ深刻になっていますね」
「っ…お前に何が分かる…!」
何かに焦っている。後悔している。追い詰められている。
様々な感情を織り交ぜたような、そんな複雑な表情をヴァイスさんはしていた。
…僕もかつてはこんな表情だったりしたんだろうな。
「貴方の気持ちは、貴方にしか分かりませんよ。…ただ、“兄”としての気持ちなら、僕にだって理解できます」
「なに……?」
「…この際、貴方のためにもしっかりと話をしておきましょう。…椿、葵。悪いけど席を外していてくれ。一対一で話がしたい」
「…わかったわ」
二人には席を外してもらう…と言っても、少し離れた所で待機するだけだが。
同じ“兄”として、他の介入は避けて欲しいからな。
「……先に聞いておきますが、ヴァイス・グランセニックさん。貴方は人質にされた妹さんを助けるどころか、誤射をしかけた事に責任、もしくは罪悪感を感じ、また、“自身の手で助けられなかった”と言う無力感に苛まれている……違いますか?」
「……この前も思ったが、お前は心が読めるのか?」
僕に対して最大限に警戒した状態で、ヴァイスさんはそういう。
相手はただの嘱託魔導師。警戒を解く事なんてできないだろう。
…と言うか、管理局
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