第4章:日常と非日常
第116話「兄として・後」
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
)」
既に管理局に保護され、先に家に帰っているラグナの事を想う。
…おそらく、罪悪感から俺はまともに顔も見れないだろう。
こんな不甲斐ない兄ですまない…。
…そんな、精神的に参っていた時だった。
「………誤射した事、後悔してますか?」
「っ………!」
後ろの席から、そう声が掛けられたのは。
…身の毛がよだつ思いだった。いきなり誤射の事を言われたのだから。
「隣の席から失礼します。…あまりにも、深刻そうだったので」
「…あんたたちは……」
黒髪の少年と銀髪の少女、そして使い魔らしき動物の耳と尻尾がある茶髪の少女。
振り返った俺の視界に飛び込んできたのは、その三人だった。
=out side=
「…悪いが、放っておいてくれ」
「貴方のその様子を見たらそうした方が無難なんですけどね…」
そう言って、優輝は彼の隣の席に移る。
「……僕とどこか“同じ”に見えたので、そういう訳にもいかないんですよ」
「“同じ”……だと?」
「はい」
“どういう事だ?”と、彼は訝しむ。
「他にも“同じ”だと思った人がいましてね…。貴方の様子と、その感覚から……誤射しかけた相手…貴方の妹かそれに類する人ですね?」
「っ………!?」
その言葉で、一気に優輝達への警戒心が上がる。
彼と人質の関係性をまさか一発で当てるとは思わなかったからだ。
「…あぁ、通りで……」
彼の反応を見て、図星だと分かったのか優輝は納得したように頷いた。
「(……なんなんだ、こいつは…)」
突然話しかけてきて、勝手に納得している優輝に、彼はそう思わざるを得なかった。
「…優輝」
「っと…。僕の悪い癖だな。これは」
椿に咎められ、優輝は頭を振って考え直す。
彼の入ってほしくない領域に図々しく入ったも同然なのだと、優輝も気づいた。
「…改めまして、僕は志導優輝。嘱託魔導師をやらせてもらっています。ついでに言えば、今日の事件に居合わせていました」
「………ヴァイス・グランセニックだ」
警戒を解かずに、自己紹介に応えるヴァイス。
「現場にいた……って事は、俺の狙撃を防いだのは…」
「僕ですね。ちなみに直後に犯人を射たのは使い魔の椿です」
「………そうだったのか。すまない。そして感謝する。俺の代わりに…」
警戒しているとは言え、フォローしてくれた。
その事を感謝するヴァイス。
「いえ、偶々です」
「…………」
警戒しているが故に、ヴァイスの口数は少なくなる。
そんなヴァイスを余所に、優輝は軽
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ