43話 ア・バオア・クーの戦いB 3.13
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謎の振動に襲われていた。
「な・・・なんだこの揺れは!」
カイが叫び、ハヤトの艦長席を掴んで倒れないように踏ん張っていた。立っていたものは倒れ込んだり、壁に打ち付けられたりしていた。観測オペレーターが調査し、分かる範囲で答えていた。
「・・・宇宙潮流です。恐らくはア・バオア・クーの爆破時の細かい礫が各方面へ四散していたからだと思われます」
デブリによる宇宙に潮目ができたという話だ。ハヤトは特別珍しいことではないと認識した。が、余りにも振動が強すぎた。
「こんな揺れの強いものは聞いたことが無い。ましては最新鋭艦だぞ!オペレーター!」
ハヤトが再度確認を急がせた。すると地球圏全体に何らかの歪が起きていることが確認できた。
「全ての軌道、ラグランジュポイントらに変化はありませんが、各サイド、月、航行中のものに影響があります」
カイはそれを聞いて、一目散にテレビを付けた。こういうときはメディアの方が話が早いと思ったからだ。
ハヤトとカイはそこから各サイドの状況を見た。7,8割方が機能不全でコロニーの人口重力が失われていた。しかしながら宇宙空間なので、無重力状態ということで人的被害はそこでは見受けられなかった。
だが、至る所でのライフラインの事故が多発していた。特に顕著に出ていたのは医療機関だった。
そこでの被害は現在調査中だということだった。
* シロッコ艦隊 前線
シロッコは周囲を見渡しては驚愕していた。サラが矢継ぎ早に報告を入れてきていた。
「パプテマス様!後方のアレキサンドリア級多数航行不能、並び沈艦、ジュピトリスも2番から7番までエンジン大破。ああ!!何で・・・」
「サラ、ジュピトリスに総員退艦命令を」
シロッコはなるべく動じずにサラに命じたが、続けてそれに関する報告がサラよりもたらされた。
「ジュピトリス、通信途絶・・・」
シロッコは深呼吸をしながらシートにもたれかかった。ついに恐れていたことが起きた。
可能性は自身の中では感じていたが、ここにきてここまでダイレクトに来るとは想像もしなかった。
「・・・というよりもそんな想像がそもそもナンセンスなのかな」
シロッコは自嘲していた。その様子をサラがモニター越しで不安そうに見つめていた。
「(パプテマス様が、笑っている。・・・何故!)」
そんなサラの様子など介さず、シロッコは軽く自体の把握に努めた。
「さて・・・我が艦隊が半数以上が機能不全、ア・バオア・クーは地球から離れて、彼らは残っている。マスコミはこの異変に踊らされて、私の話など聞く耳ももたないか」
シロッコはサイコミュの告発をできない状況になったと結論付け、次取るべき行動を考えていた。
「(最早、歪が出るほ
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