Dream,1 寝起きの修羅場
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れた言葉の節々が、重くのしかかる。俺と鳥海は正式な恋人同士、日の明るいうちから"行為を致す"というのは流石に気が引ける。が、お互い若い男女である故にこういう流れになってしまうのも致し方ない。
しかし、これはあくまで一般の男女間における言い訳。
俺らの間にはこれは通用しない。
──俺達には夢がある。
俺が見る明晰夢を通して、夢の中で意識と記憶を共有できるようになり、有栖との一件もあってから、俺達の進んできた夢の道は1本に繋がってしまっている。
つまりは、"誰かを愛し、愛された夢が融合している"という事だ。
「兄さんは、わたしより鳥海先輩を選んだからこうなるのも仕方ない、なんて言い訳はしないですよね?」
「お、落ち着け咲──」
「わたしの"恋人だった兄さん"、もうわたしの事は愛してないの?」
それを言うのはずるい。そして、こみ上げる感情は、確かに先を愛したという証の感情。
「だ、ダメだよ咲ちゃん!今はボクの彼氏なんだから!譲るわけにはいかないよ」
「ええ、わかってますとも。でも頭で理解はできても、心が兄さんに抱かれたいって、叫んでますから」
咲との記憶と思い出もある。その愛し合った感情は強くて、一度膨れ上がれば俺も抑えられる自信はない。でも、それでも今の俺は鳥海有子を愛している。
「......で、平坂はなにしてるんだ」
「何をって、決まってるじゃないですか。センパイと鳥海先輩のセックスに混ざろうとしてるだけですよ」
「勝手にズボン下ろそうとするなっ!」
咲に意識を向けすぎていたせいか、平坂が近づき、こっそりズボンを下ろそうとしているところを既のところで止める。
平坂が性に関して奔放な為に、こういう所は容赦ないのは知っていた。
「センパイに......愛して欲しいです」
その、平坂が見せる表情も、かつて俺が"愛した時"に見せた表情そのものだった。だからこそ、早くこの夢を終わらせる必要がある。
いつまでも、こんな関係でいいわけが無いのは誰よりも俺がよくわかってる。
────可能性と夢のカケラ
唐突に、"そういう夢"が始まる可能性も否定はできない。そして、気づくのはいつも通り、夢が終わってからの話なのだろう。
それは、もしも有り得たら幸せな話。
けれども、そうであってしまった場合に待ち構えてるのは確かな悪夢。
────その結末を、俺は......俺達は、知らない。
「み、みんなダメ!内藤君はボクのなんだから!絶対ダメだ!」
......まずはこの状況を打破しなければいけない。
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