Dream,1 寝起きの修羅場
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、鳥海は有栖だ、と前から言い続けている。有栖を好きになってから感じる有栖の嫉妬深さを、今度は有子から感じる昨今。神経を擦り切らしながら2人の彼女と向き合っていると、いずれ俺の限界が来るのではないのか、と。
「ボクが言いたい事はまだあるけど、次は透君の聞きたい事を聞こうか」
「......鳥海1人か?咲とか、平坂は?」
「学校だよ。ボク、今日は欠席して朝からずっとこの部屋にいたんだけど」
「は?あぁ、いや......は?」
一瞬、聞きそびれかけた爆弾発言。
ということは朝からの数時間、俺の部屋で何をしていたのだろうか。放課後になって俺の部屋にやって来るならまだ理解できる。
しかし、学校をサボってまでここにいていい訳なんてないし、そもそも鳥海は出席率が低いから行かなきゃダメだろう、という言い訳さえ瞬時に浮かぶ。
そもそも、鳥海はどうやって俺の部屋に侵入してきたのか疑問に残る。また、前みたいに咲から鍵を借りたのだとしたら、それはいつの話なのか。
「ボクが学校行くのは、あくまでキミがいるからで、そのキミがいないのにどうして学校行かなきゃいけないんだい?」
「俺がいるいない関係なく、学校は行きなさい。それと、どうやってうちの中に入ってきたんだ」
「やだ。絶対いかない。鍵は咲ちゃんから新しく作ってもらった......ほら、新しい"合い鍵"さ」
そうして、おニューの錆一つ無い俺の部屋の鍵を自慢げに見せびらかす鳥海を前に、大きくため息をつく。
そりゃあ、俺の住むマンションの所有者は"蓮乃警備保障会社"の1つだ。その社長の娘の咲に一言言えば、合い鍵なんてあっという間に作れる。
それをこんな風に利用して、俺の部屋に侵入してきた鳥海は、悪気なんて全くなさそうな目で、真っ直ぐ俺に見てくる。
「具合、悪いのかい?」
「ちょっと、ね。明晰夢とこの状況で頭を抱えたくなった」
「......ボクが彼氏である透君を起こしに来てはいけなかったかい?」
「そういうわけじゃないんだ、そういうわけじゃ」
まさか、鳥海が悪さするとは思えない。
......いや、この状況こそ十分に困り果てることではあるんだけども。
「それで、見舞いに来てなんで俺のベッドの上に乗ってるんですかね?前と同じ状況なんだが」
「......透君の寝顔が見たかったのと、匂いを嗅ぎたかったんだ」
「......その結果、若い男の部屋に上がり込んでベッドの上に乗って見たり嗅いだりしてたのか」
恥ずかしげに頬染めるなら最初から言うなよ、という言葉は胸の中に置いといて、足元で四つん這いになって俺を見上げる鳥海を問い詰める。
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