507部分:第四十話 曹操、華陀に会うのことその十二
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第四十話 曹操、華陀に会うのことその十二
「とにかくよ。ダーリン」
「また私達の仲間となるべき戦士が見つかったわ」
「そうなのか」
華陀は曹操達と自分の間にいて自分を守っている二人の言葉に応えた。
「またなのか」
「ええ、すぐに行きましょう」
「仲間達のところに戻ってね」
「わかった」
華陀は二人の言葉に頷いた。そうしてだった。
「ならすぐそこにだ」
「行きましょう」
「じゃあすぐにね」
「それでは曹操殿」
曹操に言うことも忘れなかった。
「今日は残念だったが」
「残念でも何でもないわよ」
「病を治すのは俺の義務だ」
確かな言葉で彼女に言うのだった。
「何時か必ず癒してみせよう」
「よくそんなことが言えるわね」
「何かおかしいのか?」
「何処か抜けてるのかしら」
曹操はここでようやく華陀のこのことに気付いたのだった。
「この男、まさか」
「さて、じゃあね」
「行きましょう」
貂蝉と卑弥呼がここでまた華陀に声をかける。そのうえでだ。
彼をそれぞれ左右から掴む。貂蝉が右、卑弥呼が左だった。
そのうえでそれぞれ右手と左手をあげてだ。そこから。
飛んだ。何もないというのにだ。
「いざ、次の仲間のところに!」
「行くわよ!」
そうしてその開けてしまった天井から抜けてだ。何処かに飛び去ったのだった。
曹操は彼等が消え去ったその空を見上げてだ。こう呟くのだった。
「今のは何だったのかしら」
「わかりません。ただ」
「あの二人は間違いなく」
その曹操にこう話す夏侯惇と夏侯淵だった。
「人間ではありません」
「それだけは確かです」
「ええ、そうね」
曹操もそうとしか思えなかった。
「それは間違いないわね」
「そうです。しかし」
「天井ですが」
二人も天井を見上げる。本当に見事な穴が開いている。
そこを見上げながらだ。曹操に対して言うのだった。
「放ってはおけませんね」
「これは」
「すぐに修理を命じましょう」
曹操の決断は早かった。
「いいわね、それで」
「はい、それでは」
「すぐに人を集めます」
曹操はこうして天井を修理させてこの話を終わらせた。尚このことは彼女と夏侯姉妹の二人だけの秘密となったのであった。
曹操のところから離れた華陀はだ。空を飛びながら貂蝉と卑弥呼に問う。彼等はまだ空を飛んでいるのだ。上には青い空が広がっている。
「それでなんだが」
「ええ」
「どうしたの、ダーリン」
「どれ位で着くんだ?」
彼が今考えているのはこのことだった。
「一体どれ位でなんだ?」
「すぐよ」
「一瞬よ」
こう答える彼等だった。
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