第十二幕その八
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「迫力があって」
「観ごたえがあるわ」
「昔の中国の水墨画は別格だよ」
トートーはしみじみとした口調で言いました。
「白と黒だけでよくあそこまで描けるね」
「ダ=ヴィンチよくない?」
ダブダブはイタリアの偉大な画家の名前を出しました。
「僕モナ=リザが好きなんだ」
「私はミケランジェロかしら」
ガブガブはダ=ヴィンチと同じルネサンスの画家が好きです。
「最後の審判なんて最高よ」
「僕はベラスケス?」
ホワイティが出したのはスペインの画家でした。
「あの絵が好きなんだけれど」
「マグリットかしら」
ポリネシアが好きな画家はといいますと。
「現実にはない世界を描くって素敵よ」
「ダリがいいね」
老馬もスペインの画家の名前を出しました。
「あの不気味さがかえってね」
「僕はルノワールの色が好きだよ」
ジップの言葉はにこにことした感じでした。
「中間色みたいなあれがね」
「僕は宗教画ならどれでも」
最後にチーチーが言いました。
「昇天の絵が特にね」
「そう、芸術はね」
本当にと言う先生でした。
「それぞれだからね」
「それでなのね」
「一概には言えない」
「どの絵がいいか、わかるかとか」
「そうしたことは」
「そうなんだ、僕も合わない絵があるよ」
先生自身もというのです。
「どうにもね」
「そういうものなの」
「太田さんの絵はわかっても」
「それでもなんだ」
「漫画やライトノベルのイラストにしてもね」
普段皆が観るものもというのです。
「やっぱりね」
「合う合わないがあって」
「どうしても」
「そういうのがあって」
「それぞれなのね」
「そうだよ、飲みものでもそうだよね」
今は玄米茶を飲んで言う先生でした。
「例えば僕はお茶は何でも好きだけれど」
「コーヒーはちょっと苦手よね」
「お茶と比べると」
「そうだよね」
「うん、ウイスキーでも飲めるものと飲めないものがあるよ」
このお酒にしてもというのです。
「だからね」
「飲みものと同じで」
「芸術もなのね」
「それぞれの好みがある」
「そういうものなの」
「そうだよ、だから本当にね」
玄米茶をとても美味しそうにです、先生はお話しながら言うのでした。
「わかるわからないは皆それぞれなんだよ」
「だから僕達は太田さんのスランプ脱出がわからなかった?」
「そういうこと?」
「太田さんや先生とセンスが違うから」
「だから」
「そうだよ、例えばヒトラーは美大を落ち続けたけれど」
そして巡り巡って独裁者になったのです。
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