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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十四話 肉を斬らせる
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いる。彼が指示を出すことは滅多にない。ただ黙って司令部要員達の仕事振りを見ている。そして司令部要員達もそれは分かっている。時折ではあるがチラと見るときが有る。例えば今のラップ少佐の報告の時だ。何人かが提督に視線を向けた。
ヴァレンシュタイン提督もそれは分かっているだろう。しかし提督がその視線に応えることは無い。視線を向ける事もないし表情を変える事もない。ごく当たり前の事であって驚く事ではないし、周囲に声をかける必要もない、そう思っているのだろう。もしかするとそんなつまらない事で一々自分の顔色を窺うな、そう思っているのかもしれない。
自分が居なくても問題なく艦隊が機能するように鍛える。それを知っているのは俺とミハマ中佐だけだが司令部はチュン参謀長を中心にまとまりつつあるようだ。後は皆が思っているように戦闘訓練だけだろう。しかし、提督はどうするつもりなのか、戦闘訓練も参謀長に一任するのか、それとも……。
「参謀長、シェーンコップ准将」
ヴァレンシュタイン提督が俺と参謀長に声をかけた。
「少し話したい事が有ります。私のプライベート・ルームに来てください。ミハマ中佐も」
そう言うと提督は席を立ち歩き始めた。
ミハマ中佐が後を追う。参謀長に視線を向けると向こうも訝しそうな顔をしてこちらを見ている。俺に思い当たる節は無いが向こうにも無いらしい。周囲も困惑した表情で俺達を見ている。視線から逃げるようにチュン参謀長が司令官の後を追い、その後を俺が追った。
提督のプライベート・ルームに入るとソファーに座る様に指示された。俺と参謀長が隣同士、提督とミハマ中佐が隣同士だ。そして俺の正面にはミハマ中佐が、斜め右には提督がテーブルを挟んで座った。
「ヴァレンシュタイン提督、お話と言うのは何でしょうか」
チュン参謀長が問いかけた。
「ランテマリオに着いたら、私は艦隊を離れる事になります」
艦隊を離れる? チュン参謀長が困惑した表情を見せた。ミハマ中佐もだ、彼女も初耳らしい。
「それはどういう事でしょう? 向こうでは戦闘訓練をする予定ですが」
「戦闘訓練は参謀長を中心に行ってもらう事になりますね」
チュン参謀長の困惑が益々大きくなった。例の自分が居なくても動けるように、そのためか……。中佐も同じ事を考えたのだろう、チラとこちらを見た。
「しかし、訓練は第一艦隊、第三艦隊との共同訓練のはず、ワイドボーン提督、ヤン提督には何と説明します」
参謀長の困ったような声にヴァレンシュタイン提督は微かに笑みを浮かべた。
「心配はいりません。私が居なくなる事はあの二人も了承済みです」
「それはどういう事なのでしょう、事情をお話しいただけませんか」
「軍の極秘任務でフェザーンに行きます」
「フェザーン……」
眉を寄せて参謀長が
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