502部分:第四十話 曹操、華陀に会うのことその七
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第四十話 曹操、華陀に会うのことその七
「本名で出てたこともあるし」
「ううむ。まあいいじゃないか」
「そうね。それで今度だけれど」
「今度は何だ?」
「よくここに来たわね」
曹操が次に言うことはこのことだった。
「偶然って言えば偶然だけれど」
「そのことか」
「そうよ。今まで何処にいたの?」
「広州にいた」
そこだと話す華陀だった。
「今まではな」
「広州?随分遠いわね」
「ああ、三日前まではそこにいた」
「三日って」
華陀のその言葉を聞いてだ。曹操は唖然となった。それが事実とはとても思えずにだ。彼に対してこう問い返したのだった。
「ちょっと、それは嘘でしょ」
「嘘に聞こえるか?」
「三日で広州からこの許昌まで来たって」
「信じられないか?」
「そんなのできる筈がないじゃない」
「この前まではできなかった」
それはそうだというのだった。
「だが二人の仲間ができてな」
「二人?」
「そうだ、頼もしい仲間達ができたんだ」
「じゃあその人達の助けでなのね」
「そうだ、三日でここまで来れることができるようになった」
こう曹操に話す。
「実はな」
「それでここまで来たの」
「病で悩んでいる者の声を聞いたからだ」
「声を」
「おそらく。それはだ」
曹操を見てだ。言い切ったのだった。
「曹操殿、貴殿だな」
「その通りだと言えば?」
「だからここまで来たんだ」
そうだと言い切る華陀だった。
「俺はな。声を確かに聞いた」
「どうして聞こえたのかは知れないけれど」
「そうなのか」
「けれどその通りよ」
曹操は答えた。
「私はね」
「貴殿は?」
「実は、その」
ここでだった。曹操は急にもじもじとしだした。そして気恥ずかしい顔になってだ。こう華陀に対して話をするのだった。
「あの、私ね」
「貴殿はか」
「最近ないのよ」
「おお、それはいい」
華陀は曹操の今の言葉に笑顔になった。
「できたのだな」
「できたって?」
「だからあれが来ないのだな」
明るい顔でだ。曹操に言うのだった。
「できたのだ。子供がな」
「ちょっと、そんな筈ないでしょう」
曹操はこのことは顔を真っ赤にさせて否定した。怒っているのではない。彼女は恥ずかしくなってそれで顔を赤くさせているのである。
「何で私に赤ちゃんができるのよ」
「むっ、違うのか」
「私が閨に入れるのはね」
「うむ」
「女だけなのよっ」
このことは強調したのだった。
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