ウィザード・トーナメント編 前編
俺には2人の妹がいる
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俺は雛に関しては頭が上がらないのだ。
コンコンコンと雛が紗友里の部屋のドアを軽快に叩く。紗友里の部屋からは返事が来ない。しかし、雛からすればそんなことは関係ない。俺の手を掴みながらドアを開けてどんどん突き進んでいく。
まるで勇敢な兵隊が立入禁止の地雷が置かれた戦場に突入するかのような独特の緊張感は雛には一切ない。それを見て俺は「これが...若さか。」と一人でにモノ思いにふける。
部屋に入ると紗友里が着替えているところだった。まさかラノベの定番の展開をこんなに萌えない形で迎えることになるなんて。俺は悶絶した。それから数秒経たないうちに紗友里の理性が働き、雛はともかく俺は部屋の外に締め出された。俺としては、雛にまで牙が向くことがなかったのが幸いだった。
しかし、女子2人の会話も少なからず気になるので俺は部屋の状況を確かめるためといういかにもな理由をつけてドアに耳を当てる。
「雛!ここに来るときはノックぐらいしてよ!」
「したよ?」
「えっ...あっ...そうなの?じゃあせめて誠を入れる前に部屋の中をみてからにして。次からは気を付けるのよ。」
「うん!」
「じゃあお姉ちゃんは外にいる誠に会ってくるから、ここで待ってるのよ。」
「分かった!」
スッスッと足音がドアに迫っているのを理解して俺は少しばかりドアから離れる。ドアはギーッという音を立てながらゆっくり開いていく。既に俺は見の危険を察知しているわけだが、この空気の圧力のせいなのか体が石のように動こうとしない。
「ま・こ・と☆」
「..............はい?」
紗友里がこんな呼び方をするのは今にも爆発しそうな怒りを強制的にセーブしているからに過ぎない。
すると紗友里が召喚魔法の術式を発動する。だがこの術式は普通の召喚魔法ではない。戦闘をするのに相応しいフィールドを召喚する召喚魔法だ。
この「フィールド召喚魔法」は魔術士なら誰もが使える魔法で、魔術士育成中学校にて基礎知識の一環として教えられる。この魔法を使えないとするならばそれは魔力を持たない旧人か俺のように魔法適性の低い魔術士くらいなものだ。
「今からアンタを倒して見せる。そしたら以後、私をアンタと同等の価値がある魔術士として扱い、何でも言うことを聞くことを認めなさい。」
「はぁ.....仕方ねぇの。」
俺の戦闘のスイッチが入る。紗友里が兄として扱うのはこの時の俺だ。俺はスイッチのオンオフが両極端と言ってもいいくらいで、スイッチが入ると二重人格のように変化する。
「仕方ねぇから、久しぶりに稽古をつけてやるよ。」
「えぇ、今度こそ兄さんに勝ってみせるわ!」
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