S-7 勝者/────
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の物にしたい。だが、出来るわけがない。その黄金の財宝を見たものは誰しもそのような矛盾を感じるだろう。
その黄金の宝具の名は──《無意味なる黄金》──ファヴニールが守り、ジークフリートが手にした財宝の山がファヴニール最後の切り札だ。
財宝は天から堕ち、ファヴニールの背後に無造作にばら蒔かれた。
すると今までは気配さえ無かった野性動物達が一斉にその黄金目掛けて走り出してきた。その中には管理者が用意したのか一部幻想種も含まれていた。
「Grua!!!」
その一声で喧騒が一気に静まる。野性動物達は逃げてはいない。黙ってもいない。ただ息絶えた。先程までのファヴニールならば一声で全てを殺すことは不可能だっただろう。しかし、今はそれが出来る。何故? 決まっている。財宝を守る為、守るべき財宝が自分の背後に存在するからだ。
「……クッ!」
ジークフリートもそのプレッシャーに圧倒される。ファヴニールの今の身体に関するステータスは間違いなく全て規格外だろう。
「Gruaaa!!」
ファヴニールのその咆哮でジークフリートは我に返る。そこで恐ろしい光景を目にした。
何十もの剣が、槍が、斧が、鎚が、矢がジークフリート目掛けて翔んでくる。一部は不規則な動きで背中を狙うものもある。
「────ッ!」
一瞬だけ躊躇したが、先ずは不規則な動きで背中を狙っている数本の剣や槍を素早い動きで弾き飛ばす。そして直ぐに身を翻して残りの武器をその身で全て受ける。
計八本の武器がジークフリートの身を武器が突き刺さり、吹き飛ばす。
ジークフリートは数メートル吹き飛ばされたところで大木に当たり、やっと止まった。
ランクB++以下の武器ならば無効にし、それ以上でもB++分は軽減する《悪竜の血鎧》は貫かれ、ジークフリートは吐血した。どう見ても軽傷では済まない傷だ。
それもその筈。ファヴニールの翔ばした武装は全てがランクA以上、更に能力によりそのランクも神秘も跳ね上がっている。
ジークフリートの得意戦略は自身の不死性を利用した特攻だ。それが不可能に近い。
「ならば……一撃に賭けるしかないか」
ジークフリートは駆ける。強化された筋力、敏捷でファヴニールに迫る。その軌道は一直線ではなく、ジグザグに移動していた。
だがファヴニールらそんな事を気にした様子はなく炎の玉を数発口から放つ。それを器用に躱していくと着弾した瞬間、目眩ましのようになり視界が狭まる。そして死角から武器が迫る。
「……っ!」
魔力を纏わせた剣で回転しながらそれらの武器を弾こうとする。低い幸運値ながらもジークフリートはほぼ全ての武器を弾き飛ばし、背中を貫くようなものは無かった。
しかし数発は
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