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彼願白書
リレイションシップ
カーテンコール
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ではない。

トカゲのような深海淒艦の死骸を引き揚げ、調査した結果、これは深海淒艦に変異したトカゲであり、内容物などからその食性は人間、特に艦娘を好物としていたことが判明した。
更に、艦娘を意識を生かしたままで、その身体を外殻に取り込んでいたらしく、その体表にはまるでトカゲの身体から逃げ出そうと、もがくかのように手を伸ばしたり絶叫している、黒塗りの人の姿が鱗のようにびっしりと並んでいた。
中にはその身体を貫くように砲塔が伸びていて、内側から串刺しにされて悶えるような姿も散見され、その様相はまるで地獄への門扉のそれ。

そして、そいつを揺り籠にして緩やかなペースでじっくりと育てられる予定だった『子供』は、蒼征の強襲によって、結果的に未完成のまま誕生することになった。
本来ならば揺り籠もろとも取り込み、本来のネームレベル級として完成するはずだったそれは、素体のみでろくな艤装もないまま、着の身着の侭の徒手空拳で戦うことになったのだ。

姫クラスの持つ配下の軍勢の召喚も、鬼クラスの強固な戦闘力もないまま、未完成なままだったことが、港湾部にいた『子供』の状態だった。

では、親はどうだったのか。
親はなぜ、直掩で他の戦力を率いてなかったのか。
これについても諸説ある中で、一番の有力説となっているものがある。

姫クラスの持つ配下の軍勢の召喚能力にも一定のキャパシティ限界があるのではないか?という説だ。
光作戦の表向きのほうでも出現している新たな姫クラスを産み出したのも『ハーミテス』だとしたならば、『子供』とその揺り籠まで産み出した上に新たな姫クラスまで呼び出した『ハーミテス』はもはや、それ以上の戦力をまともに産み出せなかったのだ。
だからこそ、彼女は自分の子供を育てることに専念していたのだ。

後の調査により、『ハーミテス』が戦闘不能になった艦娘や人間を拉致していた様子も目撃されている。

では、その『ハーミテス』は果たしてどこから来たのか。

それについては、後々に明らかになる……とはいささか語弊がある、結論としてしか意味を持たない最終報告としての文書を締める言葉にはこうある。

“『ハーミテス』と呼ばれたこのネームレベルは、発生源こそ正確に明らかにならなかったものの、このネームレベルはトラック壊滅という惨事を単騎で起こした。これは、我々がまだ深海淒艦を完全に打倒し撃破することが未だに叶わぬことであるという証左だ。”
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