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彼願白書
リレイションシップ
カーテンコール
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撃という最悪のオプションは避けられた。ついでにだが、駆逐艦の艦娘を二人、救出することが出来た。」

壬生森の座る反対の壁側には、止血と応急措置が既に終わり、あとは『おおどしま』に備え付けた簡易ドックに放り込むだけとなった状態で長椅子に寝かされている神風と、それに寄り添うようにして座り、気が抜けたのか寝落ちしている春風の姿。

「成果は上々かしらね。」

「最悪の二個手前、というところだろう。」

「それを、上々って言うんじゃない?」

「……確かに、そうだな。」

壬生森は一通り、タブレットに入力を終えたのか、視線を上げて窓の外を見る。
既に小さくなりつつあるトラックの島影。
そこはもう、荒れ果てた無人島と言ってもいい。

「トラックはどうなるかしらね。」

「官民そっくり丸ごといなくなった無人島だ。復興は、難しいだろう。」

「では、放棄?」

「放棄するには、位置が悪い。当面は鎮守府だけ復旧することになるだろう。」

「ひどい話ね。」

「そんなものだ。町、というものは一年や二年で作るものではない。開拓する者がいて、通う者がいて、居着く者がいて、そこで育つ者がいて、気の遠くなる年月を経て、そうやって堆積した上に、町というものが出来るのだ。」

わざと作ろうとした町など、砂上楼閣のごとく崩れ去るだけだ。
壬生森はそう締め、窓の外から叢雲に目線を戻す。
対する叢雲は最後に質問をする。
ヘリはもう、巡航をやめて、ホバリングを始めていた。

「月日が経てば、いずれ、トラックにもまた町が出来ると?」

「それが必要ならば、な。」






その後、トラックから避難して周辺海域に漂流していた船や、周囲の無人島に逃げ込んでいた避難者が、救援に入ったエアボーン部隊によって、次々に発見され、当時の状況が断片的に確認された。

戦力の大部分を『ハーミテス』に依存し、トラック諸島のそれぞれに散っていた、残存戦力のそのほとんどはエアボーンにより迅速に突入した部隊により掃討されていくことになった。
今回の事態に巻き込まれたマスターシップ『サラトガ』とその輸送部隊は今回の救出作戦の功でブルネイに編入。
熱核攻撃があった場合、彼女達はまちがいなく無事ではなかっただろうことは疑いない。

そして、壊滅したトラックに本格的な調査団が入り、その惨状と“ネームレベル”『ハーミテス』の詳細が判明した。
『ハーミテス』は本来、ただの姫クラス相当の能力しかない存在に過ぎなかった。
それが、トラックを壊滅させるほどの能力を得たのは単に、トカゲのような深海淒艦の圧倒的な火力と耐久力があったからだ。
そして、そのトカゲに『ハーミテス』は謂わば“ネームレベル”の卵を産み付けていた。
もちろん、それだけ
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