リレイションシップ
クロスファイト
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龍驤達がついに、ハーミテスに肉薄する。
ハーミテスは遠くの熊野達に気を取られているのか、龍驤達には眼もくれないで砲撃を続けている。
「やはり熊野達の攻撃ではびくともしてないな。想定内だが。」
「戦艦と空母二隻ずつ程度の打撃力でなんとかなるならネームレベル指定はされんやろ。ただですら、鈴谷も欠けとるし。」
まぁ、いつものパターンが崩れとらんだけ上出来や。
龍驤がそう言った直後に、明らかに火砲のそれではない甲高い音が鳴り、ネームレベルの口から青白いブラストが吹き出るのを確かめた。
「あの、開けっ放しとる口から出とるあれ……怪しいと思わへん?」
「さっきからたまに鳴る、やたら甲高い音はあれが出してたようだな。」
イグアナかトカゲか、そんな印象があるものの、全身から伸びるトゲのような砲の数々と肩にわざわざ着けたような大口径の連装砲。
それとは明らかに違う、口のような部分から伸びる異質で巨大な砲塔。
そして、それら全てが火を噴いているのだ。
全ては熊野達に向けて、放たれているのだが、当の熊野達に有効打として届いているのは口の中からのブラストだけのようだ。
あとは近付けないように弾幕として放たれているのを、龍驤はこっそりと飛ばしていた上空の偵察機から確認している。
「ほな、まずはあれを潰そか。あれが潰れたら状況はだいぶ変わるで?」
「まったく、なんだありゃ。下品な装備ってのは、ああいうのを指すんじゃねーのか?」
「違いないな。ああいうのはさっさとぶっ壊すに限る。」
龍驤が投げた式紙から、いつもの爆戦を羽ばたかせる。
それを合図に天龍と木曾は愛用の刀を携えて駆け出す。
お互いに軽口を叩きつつも、この二人に隙や無駄はまったくない。
もともと同門であり、互いの太刀筋も理解し尽くしているからこそ、絶対の信頼がある。
相手が例え、深海淒艦の種別を明らかに外れた巨大なモンスターであったとしても。
彼女達はきっと、変わらずに戦える。
もはや交わす言葉はない。
打ち合わせる意図も、確かめる覚悟も、もはやここにおいて必要はない。
そんなものが必要ないくらいには、彼女達は各々が強くあったから。
天龍と木曾は海面をまるで水切り石のように駆ける。
水切り石と違うのは、それが途中で水面に没するようなものではなく、明確な殺意で疾走する艦娘であったこと。
ネームレベルは、もはや習性というべき反応で口の中の巨砲以外の全身の砲を二人に向ける。
「そのアホみたいに開けっ放しとる口、そろそろ閉じいや?」
一瞬だった。
化け物が攻撃目標を熊野達から天龍達に移そうとした一瞬の隙。
その一瞬の隙でなければ、龍驤の飛ばした爆戦から投げ込まれた爆弾が正確にその口の中に放り込まれること
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