リレイションシップ
ライドオン、アヴァランチ
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怪物の写真が映写される。
「今回のターゲット、『ハーミテス』……“女隠者”とはまた、いつもながら市ヶ谷はネーミングセンスが無さすぎる。市ヶ谷の高官はどうやら、このクソトカゲから知性を見出だせるらしい。」
そこには、まさに異形の姿があった。
鮫や鯱を思わせる頭部に、斑模様の鱗や棘で覆われた表皮。
艦橋を模したように瘤と長い棘などが目立つ背鰭。
肩に巨大な三連装砲を載せ、黒く巨大な腕が血管のように紅い筋を光らせて、地面を……いや、紅い瓦礫を地面に押し潰している。
背景と地図を照らし合わせ、その赤い煉瓦の混じる瓦礫の、もともとの構造物を悟り、誰かが舌打ちした。
遠目からのその姿ですら、もはや深海淒艦とはもはや呼べない。
少なくとも、陸に這い上がってのたうち回る戦艦などいるハズもない。
「得られた敵の情報から、ターゲットの主な攻撃手段は超長距離からの大口径砲による戦略的攻撃と通常の大口径砲群による直接打撃であることが判明している。問題はこの超長距離砲撃がいかなるものであるか、明確なデータを録れていないこと。というより、こいつに関する唯一のまともなデータは、この画像を切り出した動画だけしかないのだ。」
動画を観るのは、あまりお勧めできないため、一番鮮明な部分から画像を切り出した。
壬生森の言葉に、熊野はそっと頷き、叢雲はそっぽを向いた。
名もわからぬ駆逐艦から送信された、その映像はあまりにも無惨な結末がノイズ混じりでもハッキリとわかるほどであった。
その動画を最初に観ていた時に、熊野は途中で目を反らし、叢雲は最後まで観たあとにしばらく席を外した。
ありふれた結末と言い捨てるには、それなりには血みどろの結末だったそれを、壬生森が伏せるのは当たり前とすら言えた。
「今回のターゲットから航空戦力は確認されていない。陸に根を下ろしたベースタイプでもないことから、水上打撃戦を想定している。我々が戦いやすくするために、まずは奴を海に引き摺り出せ。」
そこまで言ったところで、インカムのブザーが鳴る。
「なんだ?」
『翔鶴です。目標を捕捉しました。鎮守府の跡地にとぐろを巻いて静止しています。目標は休眠状態にある模様。』
甲板にいた翔鶴からの通信。
一足先に彼女に偵察機を飛ばさせていた、その結果が出たらしい。
「周囲で他に確認出来るものはないか?敵でも味方でも死体でもいい。」
『上空からはターゲットの周囲どころか、トラック本島には生死を問わず、他の生物を確認出来ません。まるでそこには最初から誰もいなかったかのように、時間が止まったかのように、静かです。』
「……ふむ、そのまま監視を続けろ。」
『了解しました。』
インカムの通信を切り、壬生森は考える。
見えている敵はターゲットのみ
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