リレイションシップ
ドリーミング
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「……なんのつもりだ、と言うまでもないか。月並みな反応は必要あるまい?」
「yes。私達はたぶん、同じコトを考えてマスネ。」
床に背中を打ったのは、大したことじゃない。
電探を内蔵したカチューシャに、お団子……というには少々洒落た編み方をしたダークブラウンの髪。
墨を落としたような黒い瞳。
巫女装束のような上掛け。
そして、そこから先の細い手指は、私の顎の下、首に絡み付いている。
「私達は、こうなることでしか、終われない。アナタも、それがわかっている。だからこそ、今、こうしている私を許している。違いマスカ?」
「そうだな。私達はきっと、こうすることでしか終われない。」
馬乗りになっているのは彼女なのに、彼女を見下ろすようにしか、私は目を向けられない。
それはまるで、今までの歪な関係をシンプルに示しているようで、それはそれで嫌だった。
その関係に甘んじていたのは、他ならぬ私と彼女だと言うのに。
「テートク。」
やめろ。
私をその呼び方で呼びたくないのは、他ならぬお前自身だろうに。
わかっていた。
わかっていたくせに、何もしなかった。
愚かだとは思うが、何も出来なかった。
それが報いだと、自分に言い聞かせていたのだ。
ただ、泣き顔を見るのはなかなか辛いな、と思う。
どうせなら一思いに、と思う。
何を躊躇っているのか、手に力が入ってない。
そう、彼女は泣いていた。
自分が首を絞められているかのような、苦しそうな顔で、彼女は泣いていた。
「どうして、どうしてデスカ!何故、抵抗しないんデスカ!」
「一番マシな死に方があるとしたら、お前に殺されることだろうなと思っていた。こうやって殺されるなら、まぁいいか。そう、受け入れていただけだ。まぁ、清々しくはないが。」
「そう易々と死んでいい立場ではないデショウ!?」
「立場で生き死には変わらんよ。死んでいい立場だとか、惜しまれた存在だとか、実際にはそんなものはないのだよ。」
さ、やりたまえ。
君に殺られるなら、それはきっと本懐だ。
そう思って、生き長らえてきた。
「一つだけ頼むとしたら……絞めるか折るかだったら、折るほうで頼む。部屋を汚したくないのでね。」
その言葉に彼女は歯軋りひとつ、そして声にもならない叫びを上げ。
ようやっと、彼女の手は力を込める。
これで、やっと終いかと目を閉じて、意識を速やかに手離すことにした。
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