元提督は本題を切り出す。
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鎮守府だ。
ジュウコン関係でひどいことになった鎮守府の後始末は、明確に違法なブラック鎮守府を潰すよりもある意味で面倒な時がある。
人も艦娘も感情の生き物だ。
ケッコンカッコカリというシステムも、そこに依る部分が多い。
だからこそ、外すとヤバい部分のタガに触れてしまっている。
今のプレーンリングになってから、リスクはかなり減ったものの、それでもやはり定期的にブラッド鎮守府の後始末があるんだから、まだまだケッコンカッコカリには多大なリスクがある。
そもそもシステムの内容を明かすとだいぶ黒いものが出てくるシロモノで、だからこそ壬生森は隣の叢雲にも指輪を渡してはいない。
過去に一人だけ、どうしようもなく渡したが、それで起きたことを壬生森は今も思い出したくない。
一人でもこうなるのに、それを二人、三人、なんて到底無理だと思う。
そもそも、壬生森は人権や婚姻等の法整備を整えた今、そもそもカッコカリ自体が冒涜だとも思っている。
ケッコンカッコカリ、ジュウコン、結婚、一夫多妻、様々な問題をどの方面にも抱えるこれを、果たしてどう取るか。
壬生森は少しだけ意地悪な質問をしてみることにした。
「私はケッコンカッコカリという制度自体、艦娘を馬鹿にしているというスタンスなのだが、それについてはどう思うね?」
壬生森が余多の提督に聞き、余多の提督が頭を抱えた問題だ。
壬生森はこれを今まで、様々な提督にぶつけてきた。
金城も、少し考え込んでいる。
実態を知るほど判断が難しい話だ。
そんな難しい空気の中、口を開いたのは早霜だった。
「あの……私なりの意見を述べても良いでしょうか?」
「現役の艦娘の貴重な意見だ、是非聞かせてくれ」
そう言えば最近の艦娘から聞いたことはあまりないと思う。
艦娘のいる現場から遠退いていたのだから当たり前だが。
「では……私としては、ケッコンはある種の『ご褒美』だと捉えています。」
「ほぅ?」
「私達第二世代の艦娘には、明確な『親』と呼べる存在が居ません。その為身近にいる艦娘ではない人……提督にどの様な形であれ本能的に繋がりを求めているのだと思うんです。」
壬生森はそうか、と気付く。
艦娘も第一世代と第二世代でそもそも生い立ちが違うのだ。
隣の叢雲は第一世代の艦娘。
いちおう、帰る家はある。
墓参りをする、墓もある。
当人は帰りたがらないが、それでも帰ろうと思えば帰れる。
だが、第二世代の艦娘にはそれがない。
帰りたくても、帰る場所はない。
あるとしたら、それは鎮守府なのだろう。
「だからこそ、提督を『父親』であり『友人』であり、『恋人』や『夫』……果ては『家族』のように振る舞って欲しいと思うのだと思います、私を含め。」
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