アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
ドキドキ!?温泉パニック!!@
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掛けてくれ。この間の事を相当気にしているらしい。」
その、ある意味ではクロノらしいとも言える頼みに、なのはは二つ返事で了承した。
黒駒谷はアージェントでも屈指の観光地だ。両側を銀嶺に挟まれた細く長い谷、その縁に沿って沢山の温泉宿や土産物店が並ぶ。
お尋ね者であり現在絶賛指名手配中の暁人では、普通の店に入る訳にはいかない。なにより……
「氷雪を一人には出来ん。だが……俺が女湯に入る訳にもいかんだろう。氷雪を男湯に入れるのも駄目だ。他の男共に氷雪の肌を晒す事など論外だ。」
「………それで、ここかい?」
「ああ。ここまで奥地で、しかも『混浴』であれば、 他の客はいないだろう。俺の正体を隠す意味でも、氷雪を守る意味でも都合がいい。」
暁人一行の目の前にあるのは、日本家屋風の木造の宿『松風屋』。黒駒谷の奥地にあるそこは観光客はおろか、現地の人々でも殆ど知らない、正に知る人ぞ知る名湯だった。……混浴でさえ無ければ。
しかし、後ろめたいことをしておりなおかつ超弩級シスコンである暁人には都合が良かったのだ。
「……ま、まあご主人様とお嬢様の事を考えれば最適なのは確かです。」
「温泉……楽しみ……」
先に入った暁人とミハイルに続き、ミミは半ば諦めと共に、氷雪は期待に目を輝かせて暖簾をくぐるのだった。
暁人達に遅れる事数分後。
「へぇー、見た目は日本のお屋敷だね?」
「そやなぁ…京都とかにありそうや。」
なのはとはやては松風屋の前に立っていた。三人だけでゆっくりさせたいというクロノの配慮で、地元の住民でも殆ど知らないこの宿を探しだしていたのだ。
「ところで、フェイトちゃんはどないしたん?」
「ああ、フェイトちゃんなら……」
そこまで言ってなのはは後ろを振り返る。そこには顔を真っ赤に染めて、何やらブツブツ呟きながら悶えているフェイトの姿が。
「……えっと………。」
「混浴って聞いてからずっとこんな調子で……」
「な、なのはぁ……やっぱり駄目だよ。こ、こん、混浴だなんて……今からでも違う所に……」
普段の凛としたハラオウン執務官としての姿は何処にもない、どちらかと言えばただの内気な少女にしか見えなかったが、むしろこっちがフェイトの素であろう。
ともあれ、茹でダコの如く真っ赤になったフェイトをどうにか説得しつつ、三人も松風屋に入るのだった。
暁人達を案内したのは齢80に達しようかという女将。通された客間はそれなりに広く、木と畳の臭いで溢れていたが黴臭さは微塵も感じなかった。
「それでは、ごゆっくり。」
それだけ言って部屋から下が
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