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彼願白書
提督はBARにいる外伝、ロッソ
元提督は乗り込む。
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の姿が一種軍装だったので、会うまでは「陸戦隊の隊長が無理矢理着させられてむかっ腹が立っている」ような写真でしか知らなかったが、どうやら第一印象は当たらずも遠からずらしい。
そして、内装を見回した壬生森はひとまずそこでにこりとする。
まっすぐな木目のバーカウンターとはなかなかわかっている。
並んでいる酒も、インド洋ルートや大陸ルートから入れられる酒は揃っているようだ。
ウォッカまで揃えているとはなかなかの収集癖だと思う。
今日持ってきた酒は、さすがに無いようだが、あったらあったで問題なブツだ。
ないほうがむしろ健全だろう。

そして、金城の隣には駆逐艦娘がいる。
髪の長い子で制服を見るに、夕雲型のようだが……壬生森の現役時代には夕雲型のマスターシップがほとんどいなかったので、誰なのかはわからない。
ケッコン艦リストにもいなかったので、秘書艦という感じでもなさそうだ。
ともかく、バーカウンターの内側にいるということは彼女は助手らしい。
駆逐艦という割には落ち着いた印象で、店の雰囲気をちゃんと立てている。

ふむ、初見の印象は悪くない。
壬生森は呑気に店構えを目で見ていると

「あの……この樽は何処へ……?」

後ろから樽を担いだ高雄が困惑していた。
しまった、と思い、壬生森は振り返る。

「あぁ、そうだった。その樽はカウンターの隅にでも載せてくれたまえ。すっかり失念していたよ。」

うわ、締まらない。
壬生森は内心でやらかしたと慌てていた。
とはいっても、中身はそれを踏まえても驚くに値するハズだ。

「お〜。流石、高雄。馬鹿力だなぁ。」

「ちょ、女性に対してその言い方は酷くないですか!?」

「まぁまぁ、馬鹿力は昔からだろうに。酔っ払ってグラス握り潰したのは一個や二個じゃねぇだろが。」

腕力だけじゃなく握力も凄いのか、今の高雄型は凄いな。
壬生森はそんな検討違いなことを考えていると、いつの間にか高雄がいなくなって、金城が聞いてきた。

「……で、これは?」

よくぞ聞いてくれた、と思いながら渾身のどや顔をくれてやることにする。
中身は、それほどにお高いブツだ。
好みはさておき、それがなにかわかるならば腰が抜けてもおかしくない貴重品だ。

「他人の城にお邪魔するんだ。手土産のひとつも準備しないと失礼かと思ってね。」
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