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彼願白書
提督はBARにいる外伝、ロッソ
元提督は地下室にいる。
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る叢雲を見ながら、壬生森は肩を竦める。

「さて、三笠。最近……アイオワ受け入れや鎮守府交流、陸軍との手打ち……何かと中心にブルネイがいるが……いったい、何事かね?」

壬生森がちらりと三笠に眼をやる。
それだけなのに、三笠は少しだけ物怖じする。
謂れが無くとも、向けられただけで戦くような眼。
昔はこんな眼が三笠自身に向いたことはまるでなかったのだが……

「礼号作戦でのザラのマスターシップ救出、更に前線航空基地設営に敵中枢への殴り込み。中心にはブルネイの艦隊がいる。鎮守府交流、というのもブルネイが中心のようだが……」

「壬生森、それはだな……」

「なにかね。」

三笠は嫌な汗をじとりと感じる。
これを言ったら、間違いなく壬生森がブルネイに向かう。
叢雲が間違いなくセッティングする。
だって、この二人は……

「実はブルネイの金城提督は、自前で鎮守府内にバーをやっていてな。」

「バー?」

ぴくりと叢雲の眉が動く。
壬生森も、聞き入っている。

「その、なかなかの料理上手で、元帥がそのことを吹聴していたら『是非、気になる』との声が前から来ていてな……」

「へー。」

聞き流しているッ!このモフモフ白兎、途中の説明を聞き流しているッ!
次にこのモフモフ秘書艦が何を言い出すか予想が出来るッ!
三笠はこの自分の目的のためにはやたら老獪な手を選ぶこの叢雲が、いつの間にか苦手になっていた。
事務的に見せ掛けて、しれっと私心を織り込んでくるこの秘書艦の手管に、三笠は幾度となく痛い目に遭わされてきたのだ。

「で、三笠は食べたことがあるの?」

「も、もちろん。元帥がうっかり吹聴するのも納得の腕をしている。」

叢雲は、それを聞いてにやりと口端を上げる。

「司令官、アンタ……確か、海軍各鎮守府への第三者調査団の話があったよね?」

「うん、あったねぇ。」

壬生森は、叢雲の言葉に同じように口端を上げる。
この上司にして、この部下ありだったことを三笠は内心で頭を抱える。

「司令官、まだ枠はあるわよね?」

「あるねぇ。海外の鎮守府査察となると、どうにも揃って尻込みするらしくてなぁ。」

「『軍閥化や非合法な活動の疑いがある鎮守府』に充分、当てはまってるわよね?ブルネイ。」

「当てはまっちゃてるねぇ。査察対象に入ってるし、査察に行かないとねぇ。」

叢雲と壬生森は揃って同じような顔をして、茶番劇をやっている。
この二人は行く気だ。
公務でブルネイまで、公費で飯を食いに行く気だ!

「ま、待て!ブルネイには……」

「止めるの?いいの、三笠?私達を止めると、上はこう判断しちゃうわよ?『海軍にはやはりブルネイを軍閥化させ、独立しようとする動き
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