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彼願白書
提督はBARにいる外伝、ロッソ
元提督は地下室にいる。
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「御礼を言うのに相手を呼び出すほど、私は無礼ではないが。」

三笠が紙袋を、そのまま壬生森に渡す。
その紙袋を見ながら、壬生森は訊く。

「黄金色のお菓子?」

「そんなわけないでしょ。崎陽軒よ。」

「ほう……こりゃあ、晩飯には困らんな。昔と違って、今は都内じゃ置いてないから、有難い。」

壬生森は紙袋の中身を確かめて、オフィスの奥の部屋にいそいそと入っていく。
それと入れ違いで、いつの間にか先に奥の部屋に行っていた叢雲がお盆に湯呑みを三つ載せて持ってくる。

「まったく、崎陽軒のシュウマイをお土産って……古典的な手段に誤魔化されるものねぇ。」

「流石に適当すぎたか。こういうのはどうにも不馴れでな。自分でお土産を選ぶのは難しいな。」

三笠は叢雲からお茶の入った湯呑みを受け取り、たまたま立っていた茶柱を見ながらごちる。

「まぁ、いいんじゃない?前線に出てるわけじゃないし。」

「礼号作戦発令直前を狙っての妨害工作の件といい、獅子身中の虫はまだまだいる。こちらでも独自に調べているのだが、どうにも手が回りきらない。」

「ま、アンタ達はそもそも他に仕事あるだろうしね。で、その獅子身中の虫は当然問題だけど。」

叢雲はお茶を啜りながら、三笠に問う。

「他にも問題は山積みじゃないの?」

「……例えば?」

叢雲は湯呑みをテーブルに置いて、皿から飴玉を口に入れて転がす。

「この前の米国からのアイオワ、どうするつもりなのよ?記念艦として米国からマスターシップを回されたけど、どこの鎮守府も受け入れには難色を示してたらしいじゃない。」

「彼女なら……最終的にブルネイが引き受けたわ。クルツ少将経由でね。」

「ブルネイね……最近、随分肩入れしてるじゃない。信用できるの?」

「そうね。彼は凄いわよ。」

「君がそこまで入れ込むとは、なかなかだな。」

叢雲と三笠の会話に壬生森が割って入る。
盆に載せていた小皿をテーブルに並べる。
小皿に載せて出してきたのは、カステラ生地で小豆餡をくるんだような巻鮨みたいな見た目の菓子だ。

「お茶請けが飴玉ではあんまりだろう。この前、佐世保に行った帰りに買ってきた、かす巻きだ。」

「……ありがとう。相変わらず、好きなのね。」

「佐世保時代はしょっちゅう食べてたからな。これの甘さはずっと変わらん。」

そう言いながら、壬生森は手で持ってもぐりとひと口。
壬生森のお気に入りで、佐世保に行かなくても定期的に取り寄せている一品だ。

「ちょっと……私が飴玉を舐める前に出しなさいよ。」

「とか言いながら、かす巻きを見た瞬間に噛み砕いてるのは誰だ?まったく。」

ガリガリと飴を噛み砕いて、お茶で口を流してい
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