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彼願白書
イントロダクション

前書き [2]次話
かつて深海の世紀、と呼ばれた時代があった。
黒色に染まる化生の海に、人類はなすすべなどなく。
天敵なき人類が文明を謳歌していた時代が終わり、天敵たる『深海淒艦』と呼ばれる奴等に、海を奪われた時代があった。
そして奴等に戦いを挑み、少なくない犠牲を支払いながらも人類は遂に逆転した。
最大の代償は、新たな人類を産み出したこと。

『艦娘』

彼女達を、人類は前後なく産み出した。

衝突もあった。
和解もあった。
喪失もあった。

そして今日も、人類と艦娘は手を取って戦っている。

だが、それはいつまでも続くことではない。

戦いはいつかは終わるのだ。
終わらせるために、人類は彼女達を産み出したのだから。

では、終わったあとは?
終わったあとにも艦娘達は残るのだ。

故にこそ、闘争の契約関係から、新たな関係を結ぶことで、人類と艦娘の穏和な共存を目指す。
そのために今、ある部署が内務省の片隅で動いている。
全ては、人類と艦娘の不幸な決別を防ぐため。人類と艦娘が隣人として永く暮らしていくため。そして、混乱の少ない穏やかな終戦後のため。
その部署は、戦いの終わった未来のために戦っている。

内務省統合分析室、そこは未来のために戦っている。
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