ペルソナ3
1759話
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目の前にいる女は、さすがに呆れた表情で俺の方を見てくる。
まぁ、スライムもどきを始めとして、色々と見ても……それで俺が実は他の世界からやって来た存在だと言っても、普通なら信じられないのは当然だろう。
「何よそれ、ジョークか何か? だとしたら、今の状況でそんなジョークは笑えないんだけど」
「残念ながら、ジョークでも何でもない。別に今は信じなくてもいいさ。ただ、俺がそう言っているって事だけを覚えておけばいい」
「ちょっと、そんな勝手な……」
俺の言葉が気にくわなかったのか、女は不満そうに何か口を開こうとするが……俺はそれに構わず、女の手を取る。
「ちょっ、いきなり何を!?」
「いつまでもここにいる訳にはいかないだろ? 忘れたのか? ここは屋根の上だ」
「それは……」
俺の言葉で女も自分がどこにいるのかを思い出したのか、渋々とではあるが俺に身体を任せてくる。
2月という事もあって厚着をしているのだが、それでも女の柔らかな身体の感触が分かってしまう。
「……ちょっと、何か妙な事を考えてないでしょうね?」
「いや、別にそんな事はない。それよりもいいか。ここは高いんだから、落ちないようにしっかりと掴まってろよ」
「それって……きゃっ!」
何か余計な事を言おうとした気配を察したので、取りあえずそのまま強引に屋根の上から空中に向かって踏み出す。
それに女は小さく悲鳴を上げるものの、空を飛べる俺にとって、この程度の高さというのは全く問題にならない。
女もそれは分かっていたのだろうが、それでもやはりこの高さからいきなり移動するというのは驚いてしまうのだろう。
可愛らしい悲鳴を上げたことに照れたのか、空中で顔を上げると俺の方を苛立たしそうに睨み付ける。
「いや、あそこから降りるって言っただろ? なのに、何で俺が睨まれなきゃならないんだよ」
「……言って欲しい? なら、存分に言ってあげるけど」
「あー……そうだな、一応止めておくか」
そんな風に言ってる間にも地面に向かって降りていき、やがてそのまま着地する事に成功する。
「アリガト」
不満そうに、どこか片言でそう告げた女に苦笑を浮かべ、改めて周囲を見回す。
「……それで、これからどうする? いや、正確にはどうすればこの妙な状況が解決すると思う? というのが正しいんだが」
「そう言われても、私だってこんな状況になったのは今日が初めてなんだから、どうにも出来ない……わよ?」
女の言葉が途中で途切れたのは、不意に周囲の空気が変わったからだ。
それは当然俺も感じ取っており……やがて次の瞬間、気がつけば棺桶は人の姿に戻っていた。
それこそ、まるで見ている映画やドラマの場面が唐突に変わったかのような……そんな印象す
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