ペルソナ3
1759話
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睨み付けているのだが。
そんな視線を無視し、掴んでいる腕へ徐々に力を入れていく。
そうして、相手の男は最初は生意気なとこちらを侮る嘲笑、だが次第に真剣な表情になり、やがて痛みに耐えるような顔へと変わる。
男は俺の胸ぐらを掴もうとしていたので、当然のように俺の方を見ている。
それはつまり、男の顔は仲間から見えないという事であり……今の必死に腕の痛みに耐えている顔は仲間達に見えていない事を意味している。
男にとっては、自分が侮っていた俺に力で――正確には握力だが――負けているというのは、仲間に見られたくはなかっただろう。
「さて、俺が本気になる前に、そろそろ退散してくれると、こっちも嬉しいんだがな」
「……くそっ、離せ!」
苛立ちと共に叫ぶ声が聞こえ、男の右腕を掴んでいた手を離す。
そして男は痛みに耐えながら、俺を睨み付けてくる。
だが……その男の瞳の中には、隠しきれない程の俺に対する恐怖が宿っていた。
このまま戦う……いや、そこまで上等な代物じゃないか。喧嘩をしても、絶対に俺には勝てない。
それが分かってしまったのだろう。
そもそも、この男と戦うのであれば、さっきのスライムもどきと戦った方がまだ手応えはあった筈だ。
いや、五十歩百歩か?
そんな思いが顔に出たのか、俺の顔を見ていた男は忌々しげに口を開く。
「ちっ、行くぞ!」
自らの中にある怯えを威勢のいい言葉で隠して吐き捨て、そのまま去っていく。
「え? ちょっ!」
「いいのかよ!」
女を逃がさないようにしていた2人の男も、いきなりのその態度に驚きながらも後を追う。
結果として、この場に残ったのは俺と女の2人だけ。
「……あのなぁ。咄嗟のアドリブくらい出来ないのかよ?」
女に向かい、少しだけ呆れの混ざった声でそう告げる。
あの時、俺の女と言った時にそれに頷いていれば、ここまで大きな騒動にはならなかったのだ。
なのに、この女は思いきりそれを否定した。
結果として、特に大きな騒動もないままに向こうが退いたが、出来ればあの時に素直にそれを受け入れていれば、もっと手っ取り早く話が済んだだろう。
「だって……しょうがないじゃない。まさか、いきなりあんな事を言われるなんて思ってなかったし」
「……もしかして、意外に男慣れしてないのか?」
いかにも今風の女子高生らしい姿で、その外見もチョーカーを首につけていたり、2月の夜にも関わらず短めのスカートを履いてたり、何よりこの時間帯に家から外に出ていたいたのだ。
更に言えば、その顔立ちはそれなりに……いや、かなり整っており、それこそ同学年の中でもトップクラスの美人と呼ばれていてもおかしくない外見だ。
もしネギま世界に生まれていれば、確実
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